概要
基本情報
2013年 アメリカ
監督:ジャン=マルク・ヴァレ(Jean-Marc Vallee)
キャスト:
マシュー・マコノヒー(Matthew McConaughey)/ ロン・ウッドルーフ
ジェニファー・ガーナー(Jennifer Garner)/ イヴ・サックス
ジャレッド・レト(Jared Leto)/ レイヨン
デニス・オヘア(Denis O’Hare)/ セヴァード
スティーヴ・ザーン(Steve Zahn)/ タッカー
マイケル・オニール(Michael O’Neill)/ リチャード・バークレー
ダラス・ロバーツ(Dallas Roberts)/ デイヴィッド・ウェイン
グリフィン・ダン(Griffin Dunne)/ ヴァス
ケヴィン・ランキン(Kevin Rankin)/ T.J.
ブラッドフォード・コックス(Bradford Cox)/ サニー
スコット・タケダ(Scott Takeda)/ やまだ
アダム・ダン(Adam Dunn)/ ネディ・ジェイ
ジェーン・マクニール(Jane McNeil)/ フランシーヌ・サスキンド
ジェームズ・デュモン(James DuMont)/ レイヨンの父
ローレンス・ターナー(Lawrence Turner)/ ラリー
解説
1980年代当時無認可だったHIV代替治療薬を密輸販売し、アメリカのHIV患者が特効薬を手にできるよう奔走した実在のカウボーイの半生を映画化した人間ドラマ。HIV陽性と診断されたカウボーイを『マジック・マイク』などのマシュー・マコノヒーが演じ、21キロも減量しエイズ患者という難役に挑んだ。『チャプター27』などのジャレッド・レトー、『JUNO/ジュノ』などのジェニファー・ガーナーが共演。監督を『ヴィクトリア女王 世紀の愛』のジャン=マルク・ヴァレが務める。
あらすじ
1985年、電気工でロデオカウボーイのロン・ウッドルーフ(マシュー・マコノヒー)は、HIV陽性と診断され余命が30日だと言い渡される。アメリカには認可治療薬が少ないことを知った彼は代替薬を探すためメキシコへ向かい、本国への密輸を試みる。偶然出会った性同一性障害でエイズを患うレイヨン(ジャ レッド・レトー)と一緒に、国内未承認の薬を販売する「ダラス・バイヤーズクラブ」を設立するが……。
批評と受賞歴
受賞
ハリウッド映画賞:男優賞(マシュー・マコノヒー)、ブレイクスルー男優賞(ジャレッド・レト)
ゴッサム賞:男優賞(マシュー・マコノヒー)
ローマ映画祭:主演男優賞
サン・セバスティアン国際映画祭:セバスティアン賞(ジャン=マルク・ヴァレ)
インディペンデント・スピリット賞:主演男優賞(マシュー・マコノヒー)、助演男優賞(ジャレッド・レト)
ニューヨーク映画批評家協会賞:助演男優賞(ジャレッド・レト)
ボストン・オンライン映画批評家協会賞:助演男優賞(ジャレッド・レト)
ロサンゼルス映画評価協会賞:助演男優賞(ジャレッド・レト)
デトロイト映画評価協会賞:主演男優賞(マシュー・マコノヒー)、助演男優賞(ジャレッド・レト)
アフリカン・アメリカン映画批評家協会賞:助演男優賞(ジャレッド・レト)
セントルイス映画評価協会賞:助演男優賞(ジャレッド・レト)
ゴールデングローブ賞:主演男優賞(マシュー・マコノヒー)、助演男優賞(ジャレッド・レト)
全米映画批評家協会賞:主演男優賞(マシュー・マコノヒー)、助演男優賞(ジャレッド・レト)
アカデミー賞:主演男優賞(マシュー・マコノヒー)、助演男優賞(ジャレッド・レト)、メイク・ヘアスタイリング賞
おおさかシネマフェスティバル:主演男優賞(マシュー・マコノヒー)、助演男優賞(ジャレッド・レト)
ノミネート
ローマ映画祭:作品賞
ノースカロライナ映画評価協会賞:主演男優賞(マシュー・マコノヒー)、助演男優賞(ジャレッド・レト)
全米映画批評家協会賞:キャスト賞
アカデミー賞:脚本賞、編集賞、作品賞
ちなみにアカデミー賞で主演男優賞、助演男優賞のダブル受賞は10年ぶり、通算5回目。
批評
・Rotten Tomatoes:94% 7.8 / 10
・Metacritic:84 / 100
・Roger Ebert:3 / 4
脱ぎ俳優の凄さ
エンジェルフェイスよくやった。
エンジェルフェイスって、ファイトクラブの時にジャレッドレトが演じてた役。
ってことで、本作で相当評価されたね、ジャレッドレト。よかった。そしてやっぱりマシューマコノヒーの役作りが素晴らしい。ジャレッドレトは30ポンド(14kgくらい)、マシューマコノヒーは47ポンド(21kgくらい)減量。
もともとマシューマコノヒーは、町山さん曰く、
脱ぎ俳優。
すぐ裸になるんだって。とりあえず比較画像を。
すごいよね。マシューマコノヒーもジャレッドレトも。これは素晴らしいプロ意識。観客にいかにリアリティを感じてもらえるかが鍵だからね。
あと本作の良いところ。HIVに感染して、「死」が本当に目の前にある状況。恐怖、絶望、焦り、ネガティブな感情がものすごい沸き起こるはず。でもウッドルーフはそれに立ち向かって挑戦する。
死を目前にしても本来ある欲望、願望は追っかけるし、生にしがみつく様子が窺える。しがみつくって言い方はカッコ悪く聞こえるかもしれないけど、
そんなん気にしている状況じゃないから。
ただただ必死に生きようとする姿ってのは、こう、なんだかぐっとくるものがある。そして超保守のアンチゲイむき出しだったウッドルーフが変わっていく。
あるレビュアが言っていたけど、「この作品を観る理由はマシューマコノヒーだけだけど、でもマシューマコノヒーだけで十分すぎるほど観る理由になる」と。
ふむ。もちろん一緒にアカデミーとったジャレッドレトも素晴らしいけどね、一理ある。
素晴らしい作品。ダラスバイヤーズクラブ。ネタバレありつつ参ります。以下ご注意を。
お土地柄と社会背景
テキサスという土地
ダラスはテキサス州の都市。
ケネディ大統領暗殺事件が発生したダラス。
歴代支持率ワースト1のジョージ・W・ブッシュが一時期住んでいたダラス。
カウボーイの街だね。街だねって知らないけど。みたいだね。
地域にもよるけど基本的には 超保守的な街。だから、それはそれはゲイとかには厳しいんではないかなと。そんな感じのお土地柄テキサス。ウッドルーフも最初からアンチゲイむき出しだし、仲間ともゲイの話で差別していたりした。
HIVの捉えられ方
その当時はHIVはまだまだ研究途中で、同性愛者の性行為でなるものだと一般的には思われていた。ウッドルーフがHIVって診断された時は、「いやいや女としかやらない俺がなるわけがない。」って思ったわけです。ウッドルーフが感染したのは彼が買った女がドラッグの回し打ちかなんかしてHIVだったと。
実話をもとにした物語
最近、based on a true story によくぶちあたる気がする。たまたまだけど。本作は1992年にダラスモーニングニュースで取り上げられた記事が元。 ダラスモーニングニュース(Dallas Morning News)は地元の新聞。
ちなみにモーニングニュースをもじって「ダラスモーニングスヌーズ(Dallas Boring Snooze)」と一部で揶揄されている。
ロン・ウッドルーフは実在の人物だけど、レイヨンとかイヴはフィクション。
実在のロン・ウッドルーフ
映画でも描かれていたけど、実際、エイズが発覚してからウッドルーフは友達がいなくなったらしい。ゲイの人とも一緒にいたみたいなことをインタビューでほのめかしてたって。映画で描かれたほどアンチゲイではなかったみたいだけど。
実際の薬
ウッドルーフはビタミンのやつを推してたけど、現実的には病院で処方されるAZTとかより効果があるかどうかは結構批判やら反対意見があった模様。AZTもまぁそれなりには効果があったっぽい。それからペプチドT?はもはや成果は全然でなくて、今じゃほとんど使ってないとか。詳しくは知らない。
早いといえば早い、長いといえば長い
撮影期間は25日とかなりハイスピード。そして低予算。メイクアップなんて予算$250っていう噂もある。そしてアカデミーメイクアップヘアスタイリング賞を受賞するという。。おそるべし。
実際に動き出すまでがこの作品は長かった模様。いろんな俳優、監督が選ばれては頓挫して、その繰り返し。マシューマコノヒーが選ばれてから、ようやく動き出した。
マシューマコノヒーが選ばれたのには理由がある。
テキサス出身だから。
うん。意外と重要らしいよ。訛りもあるしね。
2009年にマシューマコノヒーが選ばれるまでは、1996年にデニスホッパー(Dennis Hopper)を監督で、ウディハレルソンがロンウッドルーフ、とか、2002年にブラピ、2008年にライアンゴズリング、2011年にヒラリースワンク、その他、マークフォースター(Marc Forster)監督、クレイグガレスピー監督、この辺が候補に上がったりしていた。
20年間で100回以上頓挫したという話も。 信じるか信じないかはあなt
些細なお気に入りシーン
その1
最初に余命1ヶ月宣告されてから、一気に28日目に至るまでの薬を飲む日々の音楽の使い方。残念ながら、
こればっかりは観てもらわないとわからないと思う。
その2
薬の販売を始めたばかりの時、レイヨンに薬を売ろうとするシーン。車を運転しながら話すウッドルーフを横から映す。その奥で歩いているレイヨンを捉える。また話し出すウッドルーフを映す。車をレイヨン側に寄せてカメラがちょっとぶれた隙に奥のレイヨンにピント送り。
誰も何も言わないけど、普通なのかもしれないけど、感動した。
こればっかりは観てもらわないとわからないと思う。
ということで
以上、ダラスバイヤーズクラブでした。
同年公開の「ウルフオブウォールストリート」(記事へ)にもマシューマコノヒーは出演。こちらも面白いです。
少し前に書いた「バーニー/みんなが愛した殺人者」(記事へ) もマシューマコノヒー出演、実話ベース。
ジェニファーガーナーが主演した「ジュノ」(記事へ)、
実話ベースで言えば 「シティオブゴッド」(記事へ)
なんかもおすすめです。
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