キッズ・オールライト / The Kids Are All Right

 

映画『キッズ・オールライト』予告編
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概要

基本情報

2010年 アメリカ
監督:リサ・チョロデンコ(Lisa Cholodenko)
キャスト:
アネット・ベニング(Annette Bening)/ ニック
ジュリアン・ムーア(Julianne Moore)/ ジュールズ
マーク・ラファロ(Mark Alan Ruffalo)/ ポール
ミア・ワシコウスカ(Mia Wasikowska)/ ジョニ
ジョシュ・ハッチャーソン(Josh Hutcherson)/ レイザー
ヤヤ・ダコスタ(Yaya DaCosta)/ タニア

解説

ある風変わりな家族を通し、真の愛情や家族のあり方を見つめた人間ドラマ。長年共に暮らしてきた同性カップルの子どもたちが、自分たちの父親を捜し始めた ことから起きる騒動をコミカルに描く。監督は、『しあわせの法則』のリサ・チョロデンコ。実力派女優のアネット・ベニングとジュリアン・ムーアがカップル にふんするほか、共演には『ゾディアック』のマーク・ラファロ、『アリス・イン・ワンダーランド』のミア・ワシコウスカら豪華な顔ぶれがそろう。

あらすじ

同じ父親を持つジョニ(ミア・ワシコウスカ)と弟レイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)は、それぞれの母親と一緒に仲良く幸せに暮らしていた。そんなある 日、自分たちの父親ポール(マーク・ラファロ)の存在が気になり始めた姉弟は、2人で彼を訪ねる。そのことがそれぞれの母親ニック(アネット・ベニング) とジュールス(ジュリアン・ムーア)に知れたことから、家族の関係がきしみだす。

批評と受賞歴

2010年サンダンス映画祭上映

・Rotten Tomatoes:95%、7.9 / 10
・Metacritic:86 / 100

北米7館の限定公開 → 994館へ拡大公開

68回ゴールデングローブ賞:映画作品賞ミュージカル
コメディ部門受賞 主演女優賞(アネット・ベニング)受賞、主演女優賞(ジュリアン・ムーア)ノミネート、脚本賞ノミネート
83回アカデミー賞:作品賞、主演女優賞(アネットベニング)、助演男優賞(マーク・ラファロ)、脚本賞 ノミネート

 

何が違うか

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まぁまぁよくあるホームコメディ。

と言いつつも何が違うかといえば 両親がレズ。

レズのママ2人と18歳のお姉ちゃん、15歳の弟の家族の物語。そこに騒動を持ってくるのが、お姉ちゃん(ジョニ)と弟(レイザー)の遺伝子的な父のポール。つまり、レズのママ2人が産んだ2人の子供それぞれの精子提供者。

文章だけで読むと一見混乱しそうかもしれないけど、全くそんなことはなく、登場人物もほぼこれで以上なわけで、すっと話に入れる。

そんな構成の家族の物語なんだけど、これがなかなか面白い。

日本ではこういった家庭にはあまり馴染みがないけど(アメリカでそんなにいっぱいいるかは知らないけど)、こういう家庭環境でも子供達は全く問題なく育つよと、子供達は問題ないよ(kids are allright)、ってことを言っている

って町山さんが言ってた。では、参ります。

 

映画の主張、タイトル「kids are allright」

上記の通り、町山さんによると、この映画には社会問題への提起が含まれる。

アメリカでは同性婚を禁止するような動きがあって、それに対する抗議としてこの映画が2010年に公開された。同性同士の親を持つ子供はその家庭問題のせいで、「いい子が育たない」って考え方をする風潮があるらしい。

日本でもゲイカップル・レズカップルがいたとしても、それほど変わったものだとして受け取られなくなってきてはいると思うけど、実際に「家族」として生活をしているのは、あまり馴染みはないと思う。

だから多分そういう人たちが出てきたとしたら、最初は周りからはやいのやいの言われるんだろうと思うとかわいそう。その抗議として、「子供達は大丈夫、問題ないよ」って意味でこのタイトル「The Kids are Allright」となっている。

 

監督の実体験

本作の監督はリサ・チョロデンコ。この人自身がレズで、精子バンクを使って子供を妊娠、出産している。パートナーはウェンディ・メルボワン(Wendey Melvoin)というプリンスが結成したザ・レヴォリューションの一員だった人。

テレビドラマの「Lの世界」とか撮ってたりする。だから妙に内容がリアルで気持ちがこもっている気がする。

例えばライザーが部屋でAV見つけてママ2人から問い詰められた時。

ライザー「なんでレズなのに男同士のものを見るの?」
ジュールズ「女同士のものはストレートの女たちが演じているから嘘っぽいのよね」

とのことです。

 

奪われる恐怖

なかなかレズ・ゲイカップルにとっては怖いストーリーだと思う。子供が実の親と会いたいってなる可能性は十分にありそうだから。だんだんと子供とパートナーが奪われていく感覚、ニックからしたら本当に恐怖。

ニックの方は完璧主義者で、家族の脅威になりそうなものは排除したいって考えてそう。だからライザーの友達に対しては、悪影響を与えると思って心配していたし、ジュールズに対しては仕事をさせないようにしてたりと、亭主関白な感じ。

そんなニックに対してポールはスポーツをやめて、大学も辞めて、やりたいことやって今は無農薬のレストランを経営して、若い女の子と遊んでる男。リベラルの象徴みたいなイメージ。そんなポールをニックは悪影響だと考えるのも普通。

でも、ちょっとしたポールの仕草が子供達に似ていることに気づくジュールズ。ここのシーンはちょっと切ない。そんな感じでちょっと怖さもある内容でもあるけども、最後はきっちりと示す、家族を守る存在がいれば両親の性別は関係ない。

子供達は大丈夫。

 

ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)

娘のジョニはジョニ・ミッチェルからとられた。グラミー賞9回受賞。1997年、ロックの殿堂入り。カウンターカルチャーの代表格。

 

ということで

キッズ・オールライトでした。

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