ハノーバー高校落書き事件簿 / American Vandal

適当に見はじめたら後悔した。めちゃめちゃ面白いから。

ただのポケモンミステリーじゃなかった。

ポケモンは本来の意味のポケットモンスターの意味で。あんまり単語書くと怒られそうだとビビって以下よりポケットモンスター、略してポケモンで通します。

すごい面白かった。あらすじがあらすじすぎるので、もう少し細かいことを書くと、器物損壊容疑 = 教師の車27台にポケモンの絵を描いたこと。その容疑がかかって退学になったディラン。でも彼はやっていないと主張。ピーターが中心となって、事件発生時の出来事やら各生徒・先生の諸事情を聞き込み、真相を探っていく。

その内容を、ドキュメンタリー風に、つまりモキュメンタリーでリアルな犯罪もののサタイアとして描く。「真相を暴くドキュメンタリーを高校生が撮っている」のを撮る本作。高校生が撮るドキュメンタリーとバカにしてはいけない。事件の検証も、映像表現もガチで行う。ということもあって、大したことないことを大真面目に描いている面白さもある。

ミステリー感も普通にわくわくできるし、続きが気になってどんどん次のエピソードを、なパターン。

ざっとあらすじだけ見てしまうと、「ポケモンを書いた犯人を探す」という果てしなくバカっぽいストーリーに聞こえるけど、それだけで見るのを辞めてしまうのは辞めて欲しい。その時点で、本作が言いたいことを自身を以て体現することになってしまう。

ちなみに各エピソードタイトルは、ポケモンにまつわるジョークをかけているという話。僕にはさっぱりだけど。あと、ハノーバー高校落書き事件簿って邦題にしてるけど、正しいかちょっと分かんないです。

以下、小ネタ系をネタバレありつつ、下ネタ隠しつつ参ります。ご注意を。

以下ネタバレありますのでご注意ください。

 

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概要

基本情報

2017年 アメリカ

制作:
ダン・ペロー(Dan Perrault)
トニー・ヤセンダ(Tony Yacenda)

キャスト:
タイラー・アルヴァレス(Tyler Alvarez)/ ピーター
グリフィン・グラック(Griffin Gluck)/ サム
ジミー・タトロ(Jimmy Tatro)/ ディラン
カミール・ハイド(Camille Hyde)/ ジャビ
ルー・ウィルソン(Lou Wilson)/ ルーカス
エドゥアルド・フランコ(Eduardo Franco)/ スペンサー
ジェシカ・フアレス(Jessica Juarez)
カミール・ラムジー(Camille Ramsey)/ マッケンジー
カルム・ワーシー(Calum Worthy)/ アレックス
G・ハネリウス(G.Hannelius)/ クリスタ
サクソン・シャービノ(Saxon Sharbino)/ サラ

解説・あらすじ

器物損壊容疑で退学処分を受けた高校4年生のディラン・マクスウェル。無実を訴える彼の主張を受け、2年生のピーター・マルドナードが調査に乗り出す。

批評と受賞歴

批評 ※シーズン1のみ

  • Rotten Tomatoes 93 % 8.3 / 10
  • Metascore:75
  • IMDb:8.2 / 10

 

発案と元になった事件

制作の2人は、true crime の風刺作品を作りたかった模様。そのパロディの元になっているのは、「殺人者への道(Making a Murderer)」とか、「ザ・ジンクス(The Jinx)」とか、「Serial」とか。ザジンクスは前に町山さんが紹介してたりした。

この辺の最近話題に上がることが多い実際にあった犯罪のドキュメンタリー、それ自体の風刺作品を撮ろうとしてるのが本作。プロダクション側から、ただのポケモンドラマという低俗な内容にならないように、と注意を受けていたらしい。それもあって、本作の根底で描かれることは深い。ように見える。

本作見て気になるであろう、この事件は本当にあった事件、実話を元にした話なのかどうか。なんか昔、アメリカの高校で同じような事件あった気がするなー、って思ってたら、

全然何もなかった。

事実に基づく物語ではないとのことです。

 

キャスト関係

ドキュメンタリー制作の主要の2人、ピーターを演じるタイラー・アルヴァレスとグリフィン・グラックは映画やらドラマやらにちょこちょこと顔を出している。同じNetflixドラマのオレンジイズニューブラックではタイラーアルヴァレスはメンドーザの息子のベニー役。

ディランを演じたジミータトロは、コメディアンやら、俳優もやってたりするけど、同時にユーチューバーでもある。” LifeAccordingToJimmy ” というチャンネルを運営していて、現在のチャンネル登録者数は約280万。すごい。

チャンネルはこちら。

LifeAccordingToJimmy
Welcome to LifeAccordingToJimmy. Now streaming The Real Bros of Simi Valley For business inquiries contact: BerkusJB@unitedtalent.com

人気の動画はこちら。

こういうところがキャスティングされた理由かもしれない。

 

気になるシーズン2は

犯人は明確にはされなかったけど、話としては本シーズンできっちりまとめ上げた。それもリアル犯罪ドキュメンタリーの風刺と見れなくもないけど。

でも、評判も良いしどうやらシーズン2は2018年に来るらしい。肝心の内容はどうするのかと言うと、今回とは別の犯罪を描く感じになるかも、と。仮にそうなった場合はキャストとかどうするんだろうね。ま、僕が心配したところでどうにもならないけど。

[2018.10.7 追記]シーズン2配信されて、観ました。

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予告はこちら。

 

言いたいこと

途中、アレックスがサラに手でしてもらったかどうかの検証をするエピソードがあった。その検証映像が、ちゃんと手を動かす動きをしていて、大真面目に検証映像を作っているのが面白い、というバカっぽい描写もありつつ、本作で言いたいことは最終エピソードで全て語られている

なぜ真っ先にディランが疑われたのか。確実な証拠もないのに退学処分を受けたのか。学校生活を送る上で、つるんでる友達のグループや、授業での態度、先生に対する態度、成績等々、その人をはかる指針(のようなもの)は色々とあるけど、その人が本当はどんな人物なのかは、そんなもので決められるのか

たかだか2,3年一緒に過ごしたところで本質がわかるのか。ディランへのインタビューでのあるシーン。

「あたなはどんな人ですか?」「なんだよその質問」

だね。自分でもよく分からないのに、端的に私はこんな人です、なんて言えるはずがない。そう考えると、就活もそうだった。どんな人ですかって聞かれても、ね。でも、だからこそ、こんな時にこんな行動をしたっていう事実・エピソードを話すしかないんだろうなぁとも思う。

終盤の「周りの人がディランに対してどんなイメージを持っているか」を聞いているインタビュー映像をディランが見ている時が結構辛い。「あいつらは全然わかってない」。おっしゃる通り。ただ、周りから見たら、そう見られていることも事実。ディランが今までバカな行動をしてきたのも事実。

見える部分と見えない部分。

もっと言うと、

人に見せて良い部分、見せたい部分、見せたくない部分、見せざるを得ない部分。

人には必ずそういうのがある。事実として残っていることはあっても、全てを把握できるわけではないし、結局は予測するしかない。何かを隠すということは、何か不都合があるわけで。その事実を明らかにすると、誰かを破滅させることにもなる

客観的に物事を見ようとしても、どうしてもバイアスがかかってしまう。そういうのを考えていくと、結構うつ気味になりそうだけど。考えたところでどうしようもないこともあるからね。ある程度は受け入れて、なんとかやっていくしかない。

決めつけるのは簡単だけど、本質を見るには、自分で行動して、見聞きして、自分で確かめて、自分で考えるしかない。

本作に対する各方面のレビューが良いのも大々的な実験かもしれない、と適当なことかましたところで終わります。

 

ということで

シーズン2はこちら

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コメント

  1. 通りすがり より:

    個人的にはあまりすっきりしない最期だと感じました。
    本物のドキュメンタリーかと錯覚するほどリアルだったのに、
    最後の10分は一気に投げ出されたような感覚に…
    ともあれジミータトロくんがYoutuberということがこのブログでわかり、大収穫でもありました。
    ビックマウスもなかなか面白いですね!
    good job❤

    • summer1988 より:

      ミステリー的にみるかどうかで変わってきそうですよね。僕も最初は、あー、なんだ、はっきりさせないのかとちょっと悶々としましたが、それがピーターの答えで、決めつけや偏見への物言いが主題と考えれば、まぁ、と納得させるようにしました。
      ジミータトロくん、結構な人気っぷりですし僕も大収穫でした。
      ビッグマウスに続いて、リックアンドモーティも(ネットフリックスオリジナルではないですが)新シーズン配信開始されたので個人的に興奮状態です。
      またよろしければぜひ通りすがってください!