桐島、部活やめるってよ

 

映画『桐島、部活やめるってよ』予告編
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概要

基本情報

2012年 日本
監督:吉田大八
脚本:喜安浩平
原作:朝井リョウ
キャスト:
神木隆之介 / 前田涼也
橋本愛 / 東原かすみ
東出昌大 / 菊池宏樹
清水くるみ / 宮部実果
山本美月 / 飯田梨紗
松岡茉優 / 野崎沙奈
落合モトキ / 寺島竜汰
浅香航大 / 友弘
前野朋哉 / 武文
大後寿々花 / 沢島亜矢

解説

早稲田大学在学中に第22回小説すばる新人賞を受賞した朝井リョウのデビュー作を映画化した青春群像劇。学校一の人気者である男子生徒・桐島が部活をやめたことから、少しずつ校内の微妙な人間関係に波紋が広がっていくさまを描く。学校生活に潜む不穏な空気感を巧みにあぶり出したのは、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の吉田大八監督。クラスでは目立たず地味な存在の主人公に神木隆之介がふんするほか、『告白』の橋本愛、『sayuri』の大後寿々花らが共演する。

あらすじ

とある田舎町の県立高校映画部に所属する前田涼也(神木隆之介)は、クラスの中では地味で目立たないものの、映画に対する情熱が人一倍強い人物だった。そんな彼の学校の生徒たちは、金曜日の放課後、いつもと変わらず部活に励み、一方暇を持て余す帰宅部がバスケに興じるなど、それぞれの日常を過ごしていた。ある日、学校で一番人気があるバレー部のキャプテン桐島が退部。それをきっかけに、各部やクラスの人間関係に動揺が広がり始めていく。

批評と受賞歴

報知映画賞:最優秀監督賞
ヨコハマ映画祭:最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀撮影賞、最優秀新人賞(橋本愛)
TAMA映画祭:最優秀作品賞、最優秀新進男優賞(神木隆之介)、最優秀新進女優賞(橋本愛)
毎日映画コンクール:日本映画優秀賞、監督賞、スポニチグランプリ新人賞(東出昌大)
日本アカデミー賞:最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀編集賞、優秀脚本賞、新人俳優賞優秀賞(橋本愛・東出昌大)、話題賞(作品部門)
キネマ旬報ベストテン:新人女優賞(橋本愛)
日本インターネット映画大賞:日本映画部門・作品賞、ニューフェイスブレイク賞(橋本愛) 日本シアタースタッフ映画祭:助演女優賞(橋本愛)

 

ありがとうございます。

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久々に邦画を鑑賞。

今まで邦画スルーしててすみませんでした。

すんごい面白かった。さすが話題になっていただけある。これは良い映画だった。原作は読んでないけど、読んでなくても全然楽しめる映画かと。

大八先生に感謝。邦画スルーしてた分、周りにはきっと 「好きなだけ不毛なことさせてやる」 って思われてたんだろうなぁ。あ、うん。映画の中のセリフね。ちょっと強引すぎたね。

高校生の話ではあるけど、高校生当時の思いと、今現在の思いが色々と重なって、なんか、すごいきた。「高校生の青春映画?興味ねーわ、」って思っている人。本作はただの高校生を描いた映画ではない。

30代という大台がせまっている自分が観ても、過去を振り返って、とかではなく、今の自分に対して向き直って考えさせられる映画だと思う。そういう意味では10代でも20代でも50代でも60代でも観て楽しめるようになっているんだと思う。つまり、誰にでもおすすめできる映画。

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モチーフ / 元ネタ

戯曲で言えば「ゴドーを待ちながら(En attendant Godot)」 映画で言えば ロバートアルトマンのナッシュビル。この辺の群像劇・グランドホテル方式が好きな方には大好物の作品かと。はい、自分もそうです。

あと吉田監督自らおっしゃっていたけど、ガス・ヴァン・サント監督の「エレファント(Elephant)」(2003)(記事へ)、あとは相米慎二監督の「台風クラブ」(記事へ)なんかも参考にしたいシーンがあったんだって。

小説で言えば 「ルールズ・オブ・アトラクション(The Rules of Attraction)」、サルトルの「嘔吐(La Nausee)」 が入ってる。 って町山さんが言ってた。

 

校内のグループ

校内にはグループが存在する。現実でもそうだよね。学校に限らず。校内ヒエラルキーという点で言えば、「アニマルハウス(National Lampoon’s Animal House)」とか「ブレックファストクラブ(The Breakfast Club)」 あたりかね。

で、ヒエラルキーっていうと仰々しいけど、要は学校内でもグループがあるよね。類は友を呼ぶの法則で似たような人たちが集まるわけだ。

(桐島)、ひろき、パーマ、ともひろ:帰宅部所属

桐島とひろきは微妙なところだけど現時点で帰宅部でいっか。このグループがきっと高校男子界のトップ集団なんだろう。なんかパーマとともひろを入れていいのかどうかは若干疑問だけど、とりあえず一緒につるんでいるからね。同じグループにいても毛色の違う人は少なからずいたりするからね。

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りさ、さな:帰宅部所属

この2人は高校女子界のトップだろう。りさが女王様として君臨してて、それに憧れるさな、という構図。りさは神の桐島と付き合ってて、さなはひろきと付き合っていると。上の人は上の人とつるむんだよね。

かすみ、みか:バド部所属

一応トップのりさとさなと一緒のグループにはいるものの、ちょっと間には隔たりがある。

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前田、武文とその他:映画部所属

この人たちは、オタクグループの立ち位置。基本的に神木くん演じる前田視点とひろき視点で描いていくんだけど、前田視点の方が第三者的な目線で見ている。

なぜかというと 桐島なんてどうだっていいから。

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あや:吹奏楽部所属

ひろきに恋している吹奏楽部部長。この子もまた重要人物。

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ゴリラとチビ:バレー部所属

あ、いや、バカにしてるわけじゃないんだけどね、ぱっと名前が出てこなかったから、映画内で言われてた感じで掲載。

キャプテン:野球部所属

夏が終わっても野球に命をかけているキャプテン。

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そんなグループ構成

とまぁ、こんなグループ構成になっている。知識なしで、役者さんたちの細かい表情、仕草を観て、彼らが何を思って、何を考えているか、ということに集中すれば良いと思う。

とにかく、1回観てみよう。ちなみにエンディングは高橋優の「陽はまた昇る」。

高橋優 「陽はまた昇る」

あと「みんな!エスパーだよ!」の「(Where’s)THE SILENT MAJORITY?」

高橋優 「(Where's)THE SILENT MAJORITY?」

声が良い。

さ、ということで以下はネタバレありで参ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桐島の存在

タイトルにも入っている「桐島」。桐島を中心にその周りの人物をオムニバス形式で映し出している。でも結局、彼は出てこなかったよね。いやまぁ正確に言えば「桐島らしき」人物が一瞬映る、そして桐島目線のショットが入る。けど、真相はわからない。

でもそんなことどうでも良いことなんです。観客からしたら伝聞情報でしか桐島を捉えられないわけだけど、なんというか、「神」的なものだからね。

究極のカリスマ性を持っているその神が急にいなくなっちゃったわけだから、それはそれはただの人民は大パニックなわけである。ここに、ただの高校生のごちゃごちゃした話ではなくなる要素が含まれている。

要は神がいなくなったことで、 あれ、なんでここにいて、何のために生きてるんだっけ ってなる。大げさに聞こえるかもしれないけどね。

中学生でも高校生でも大学生でも社会人でも、その世代の抱えてる問題ってのがあって、社会人からしたら高校生の悩み聞いて、「そんなことか」って思うこともあるかもしれないけど、当の本人からしたらそれをはっきり自覚できるかというと、難しい時もある。でもそこに万人に響くものが含まれているということ。

 

心の声

面白いのは登場人物それぞれの視点で描いていくところ。はたから見てたら「あーこの人はこう思ってるんだなぁ」とかって予想していることでも、実際のその人物からしたら全然違うことを考えていたりする。

みかはセリフでハッキリ言っちゃってる。

「あの人たちに部活本気でやってるなんて言っても無駄」

結局、他人が本当は何を考えているかなんて分からなくて、自分の思い込みでしかない。でもこの映画の中では学校っていう1つのグループ、コミュニティの中でなんとかやっていかなければならない。

そこにはヒエラルキーがあって、居心地が良い悪いがある。それをより強調しているのは学校の内部しか描いていないからかなぁ。一部、映画館って外があるけど、それでも同じコミュニティ内の人との関わり。

なかなか分かり合えない他人がいる。しょうがないよね。怖いところでもあるけど、それでも、相手になんとか近づこう、知ろうとするところに、素晴らしさがあるんじゃないかと思う。個人的には。

この映画はそこはあんまり関係ないけど。

 

自分を誰に重ね合わせるか

いろんな人が出てくるからね。誰かしらには当てはまるとは思う。とは思うけど、誰にも当てはまらない、もしくは少しずつあてはまっている、なんてパターンもあるかもしれない。

皆さんは誰に感情移入したでしょうか。ちなみに僕の場合はひろきでした。嫌味っぽく聞こえるでしょう。

完全に過ぎ去りし過去の栄光

ではあるけども、本当に何もない自分っていうのをずっと考えていた。だから、普段同じグループにいない人との会話、特に深く趣味を掘り下げている人の話聞くのがすごく面白かった。

自分の知らないことたくさん知ってて、楽しそうにしゃべる。それに対して自分は何も続けているものもなければ、これといって好きなこともない。

この絶望感。

だからキャプテンとの会話聞いてて辛かった。ラストのひろきと前田の会話聞いてて死にそうだった。今現在も結局何が好きかって模索し続けてるし余計辛かった。

「生徒会・オブ・ザ・デッド」の一セリフ。

ここが俺たちの世界だ。 俺たちはこの世界で生きて行かなければならないのだから。

ここはなんだか急に説明くさいなって思っちゃったわけだけど、それまでに散々打ちのめされているから反撃の力は残っていない。皆さんはもう見つかっていますかね。好きなこと。

あれだな。

辛気臭い。

こんな辛気臭い話もしたくなっちゃうような素晴らしい映画でした。各シーンで、そして各登場人物で、もっといろいろと書きたいことがあるけれど、気持ち悪い文章になりそうだからやめておこう。

それでは、これ観た後は食い殺しに参りましょう。

 

ということで

これは面白かった。

監督が参考にした台風クラブとか

台風クラブ
概要 基本情報 1985年 日本 監督:相米慎二 キャスト: 三上祐一 / 三上恭一 紅林茂 / 清水健 松永敏行 / 山田明 工藤夕貴 / 高見理恵 大西結花 / 大町美智子 会沢朋子 / 宮田...

エレファント、

エレファント / Elephant
概要 基本情報 2003年 アメリカ 監督:ガス・ヴァン・サント(Gus van Sant) キャスト: ジョン・ロビンソン(John Robinson)/ ジョン アレックス・フロスト(Alex Frost)/ ア...

それから校内ヒエラルキーなんかはブレックファストクラブ

ブレックファスト・クラブ / The Breakfast Club
概要 基本情報 1985年 アメリカ 監督・脚本・製作:ジョン・ヒューズ(John Hughes) キャスト: エミリオ・エステベス(Emilio Estevez)/ アンドリュー・クラーク モリー・リングウォル...

なんかもオススメです。

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