ボウリング・フォー・コロンバイン / Bowling for Columbine

 

ボウリング・フォー・コロンバイン(字幕版)
スポンサーリンク

概要

基本情報

2002年 アメリカ
監督:マイケル・ムーア(Michael Francis Moore)
キャスト:
マイケル・ムーア(Michael Francis Moore)
マリリン・マンソン(Marilyn Manson)
チャールトン・へストン(Charlton Heston)
クリス・ロック(Chris Rock)
トレイ・パーカー(Trey Parker)
マット・ストーン(Matt Stone)

解説

1999年4月20日、アメリカ・コロラド州の小さな町リトルトン。2人の少年は朝の6時からボウリングに興じていた。いつもと変わらぬ1日の始まり…のはずが、この後2人の少年は銃を手に彼らの通う学校、コロンバイン高校へと向かった。そして、手にしていた銃を乱射、12人の生徒と1人の教師を射殺し23人を負傷させた後、自殺した。マイケル・ムーアは問う、“なぜアメリカはこんなにも銃犯罪が多いのか”と。その疑問を解消するため、マイケル・ムーアはカメラとマイクを手に様々なところへアポなし突撃取材を始めるのだった。

批評と受賞歴

受賞

・カンヌ国際映画祭 55周年記念特別賞
・アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭 観客賞
・アトランティス映画祭 観客賞
・ベルリン国際映画祭 観客賞
・ブロードキャスト映画批評家協会賞
・シカゴ映画批評家協会賞
・ナショナル・ボード・オブ・レビュー 最優秀ドキュメンタリー賞
・サン・セバスティアン国際映画祭 観客賞
・サウス・イーストン映画批評家協会賞
・サンパウロ国際映画祭 ドキュメンタリー部門 観客賞
・トロント映画批評家協会賞 最優秀ドキュメンタリー賞
・バンクーバー国際映画祭 最優秀作品賞
・アメリカ脚本家組合 最優秀脚本賞
・フロリダ映画批評家協会賞 最優秀ドキュメンタリー賞
・インディペンデント・スピリット賞 最優秀ドキュメンタリー賞
・カンザス・シティ映画批評家協会賞 最優秀ドキュメンタリー賞
・オンライン映画批評家協会賞 最優秀ドキュメンタリー賞
・セザール賞 最優秀外国語映画賞 ・ダラス・フォース・ワース映画批評家協会賞 最優秀ドキュメンタリー賞
・アメリカ映画編集者協会賞 最優秀編集賞エディー賞
・アカデミー賞 長編ドキュメンタリー映画賞

批評

・Rotten Tomatoes:96% 8.2 / 10
・Metacritic:72 / 100
・Roger Ebert:3.5 / 4

 

銃社会

是か非か、それは個人個人の価値観ではあるものの、アメリカは銃社会である。

マイケルムーアはコロンバイン高校銃乱射事件を受けて、それの原因というよりは「銃社会」自体の謎を紐解こうとする。そして銃規制側として世界へ問いかける。

隣国カナダの実状、全米ライフル協会会長へのインタビュー、風刺アニメのサウスパーク製作者マットストーンへのインタビュー、事件により非難をあびたマリリンマンソンへのインタビュー、そしてアメリカの歴史。

さ、アメリカ銃社会を勉強しよう。ということで、以下ネタバレあります、ご注意を。

 

 

 

 

 

 

だったらボウリングも規制しろよ

コロンバイン高校の事件の犯人のエリックとディランはマリリンマンソンを聴いていた、という報道が流れて、キリスト教保守派は、ここだって思ってマリリンマンソンを叩いた。

結局、2人はマリリンマンソンのファンではないらしいけど、その報道はほとんどされなかった。でも最初の報道のせいで、ロックとか暴力的なTVゲームは規制しろよ、っていう雰囲気になった。

そこでマイケルムーアは、だったらボウリングも規制すれば?と思った。なぜなら犯人の2人は事件の前にボウリングをしていたから。実際影響がどれだけあるのか、全くないのか、知らないけど、それよりも銃によって12名が死亡したんだから銃をなくすのが優先じゃないの?って。

 

で、その後のアメリカはどうなの

コロンバイン高校事件が1999年。本作公開が2002年。今、2016年。とりあえずここを見てみて。

MASS SHOOTING

“mass shooting” は銃乱射。アメリカで起こった銃乱射事件をまとめてくれている。

ね。

日常的 という言葉がぴったり。おそろしい。もっと規制すべきだって意見はもちろんあるし、国民の意識も高まってきてはいるようだけど、なかなか銃の事故、事件は減らない。

 

本作のラスボスはNRA会長

全米ライフル協会(NRA)。その当時(1998〜2003)の会長、チャールトンへストンが本作のラスボス的な立ち位置に存在する。ベン・ハーでアカデミー主演男優賞をとった人。

そこに突撃するマイケルムーア。このNRAが銃規制に反対をしていると。突撃インタビューでは、なぜ銃を持つ必要があるか、カナダの事件の発生率なぜこうも違うのか、そんな質問をしても明確な答えは返ってこない。

一応「人種差別」だとか「流血の歴史が」云々は言ってはいるけど。まぁ色々と別の問題にも飛び火し兼ねない、だから早々にインタビューを強制的に打ち切って、部屋から立ち去ってしまった。

とは言いつつも、

マイケルムーアは映像作家であり、うまーく編集をしている。

コロンバイン高校の事件後、意図的にコロラド州でNRAが集会をしたかのように見えるけど、実際は事前に予定されていたもので、さらに1日で終わりにしている、とのこと(通常は数日かけていろんな行事を行うらしい)。

その1日っていうのは、非営利団体が法律上行わなければならない集会。チャールトンへストンのセリフも、事件から1年後の言葉をうまく使っているらしい。

どうなんだろうね。ドキュメンタリーだからありのままを出して欲しいような気もするけど、“映画”ってなっているのであれば見せ方ももちろん大事だし。これを聞いてしまうとマイケルムーアの方がずるい感はちょっと出てくる。

でも映画をそのまま信じるのもどうなんだ、って話もね。という堂々巡りパターン。ちなみに現NRA会長は Allan Cors というお方。

 

歴史のせいだと言う

チャールトンへストンのインタビューで「歴史」という単語が出てきたけど、マイケルムーアはアニメーションでアメリカ(白人)が持つ恐怖を表現した。

サウスパークの製作者のマットストーンはコロンバインの近くに住んでいたこともあって、本作でインタビューを受けている。でも、そんなマットが本作を見て怒った。

アニメーションのシーンが、トレイパーカーが昔作った「アメリカの歴史」って作品に激似らしい。マイケルムーアから全然本人たちには話を通してなかったらしく。

その報復を2人はこの作品に込めた。

チーム★アメリカ/ワールドポリス – 予告編

※僕は見てないです。どんなことをしたかはご覧頂くか、調べればすぐ出てきます。

 

お隣カナダはというと

劇中でよく比較されていたカナダ。正直、一番印象に残っているのは、

家の鍵をかけないこと。

まじかよ。

 

でも動かないと変わらない

わーわー騒いでいるだけでは変わらないことがある。でも動けば変わることもある。

コロンバイン高校の事件では、Kマートの銃弾が買われて使用された。もしKマートで売っていなかったら結果は変わっていたかもしれない。結果論だからわからないけど。可能性はなくはない。

そこでマイケルムーアがとった行動は、事件の被害者たちとKマートに押しかけて「銃弾を売るな」という提案をすること。

Kマートがどのくらいの企業規模なのかは知らないけど、なかなか大きそうな印象。絶対はぐらかしたりして、うやむやにされるんだろうなぁ、って思ってたけど、結果はマイケルムーア側の勝利。

段階的に90日かけて銃弾は販売停止にすることを決定した。すごい。こういうの見ちゃうと自分でも小さいことでも世界を変えられるんじゃないかって気になってくる。そう思わせてくれるマイケルムーアはなかなかのやり手。

 

ちなみに

チャールトンへストン主演の「地球最後の男オメガマン」のパロを入れているらしい。アニメパートかな?オメガマンの原作は ”I Am Legend” 。最近もウィルスミス主演で映画化されたあのアイアムレジェンド。

 

ということで

事件発生時の911の音声、監視カメラの映像、被害者たち、遺族のインタビュー、敵へのインタビュー、銃問題だけでなく人種差別問題まで。なかなか盛りだくさんに考えさせることがある。

たまにはこういう映画をみて自分なりに自分なりの意見を考えるのもよし。でも、映画の内容全てを鵜呑みにしてはいけないことも念頭に。

ボウリング・フォー・コロンバインでした。

コロンバイン高校の事件を描いた エレファント(記事へ)、

スクールカーストと言えば ブレックファストクラブ(記事へ) と 桐島、部活やめるってよ(記事へ)

なんかもおすすめです。

コメント