おいー
来てたんかいー。ボージャックシーズン5。嬉しいニュースをありがとう。出遅れたけど、早速鑑賞。
今シーズンはどうかと言えば、
過去の愚行、秘密、失敗、それらをどう受け止めて、どう清算するか。
ボージャックはもちろん、あの今を楽しむ超ポジティブ思考なピーナッツバターでさえも己の過去と向き合い、決断しようとする。
ダイアンはダイアンで改めて「自分は誰か」「自分に何が出来るか」を模索し、プリンセスキャロラインは今後の自分の人生をマネジメントすべく、奮闘する。
そしてトッドは持ち前の強運と独創性を今回も発揮して
セックスマシーンを作成。
さすがトッド。
今回も相変わらず全体的に鬱要素を散りばめてはいるものの、もはや恒例の(?)幻覚回やぶっ飛び回も組み込み、前半抑えめ、後半に一気に畳み掛ける構成。
てことで、ネタバレ全開で参ります。
概要
基本情報
2018年9月〜
原案:ラファエル・ボブ=ワクスバーグ(Raphael Bob-Waksberg)
声:
ウィル・アーネット(Will Arnett)/ ボージャック・ホースマン
アリソン・ブリー(Alison Brie)/ ダイアン・グエン
エイミー・セダリス(Amy Sedaris)/ キャロライン
ポール・F・トンプキンズ(Paul F. Tompkins)/ Mr ピーナッツバター
アーロン・ポール(Aaron Paul)/ トッド・チャベス
ラミ・マレック(Rami Malek)/ フリップ
ステファニー・ベアトリス(Stephanie Beatriz)/ ジーナ
ホン・チャウ(Hong Chau)/ ピクルス
ナタリー・モラレス(Natalie Morales)/ ヨランダ
イッサ・レイ(Issa Rae)/ インディラ先生(セラピスト)
アパーナ・ナンチャーラ(Aparna Nancherla)/ ホリーホック
ローラ・リニー(Laura Linney)/ 本人役
ジェシカ・ビール(Jessica Biel)/ 本人役
ケン・チョン(Ken Jeong)/ ドクター・フー
ラウル・エスパルザ(Raúl Esparza)/ ラルフ
マーゴ・マーティンデイル(Margo Martindale)/ マーゴ
あらすじ
90年代、その喜劇俳優は誰かれも愛される存在だった。あれから20年、彼は…気難しい中年に! そのハートは今でも美しく…まぁ、多少の汚れは気にしない!?
前回までと今回の趣
前のシーズンってどんなんだったっけって、こういうシリーズものの場合絶対になる。最近のNetflixはシーズンの開始前に総集編を入れてくれているからありがたいね。
でも、何かが終わった瞬間から記憶を消していく僕の脳のスタイルでは、なんとなくは思い出せるけど、あんまり細かいことは思い出せないからエピソード1なんかは頭フル回転だよね。
さて、ボージャックホースマンの前回はどうだったかと言うと、
そうかそうか。突然現れたホリーホックの母親探しシーズン。ミステリーっぽさありつつのサスペンスよりのシーズンだった。
今回はと言えば、なかなか説明が難しいけど、過去の自分から繋がってきている今の自分との闘い。
ボージャックとトッド、ボージャックとプリンセスキャロライン、ボージャックとダイアンの初の出会い、ピーナッツバターが過去の妻たちとのことを鑑みたハロウィン回。ダイアンが自分のルーツを辿りに行ったベトナム回。ボージャックのトラウマになってた母の葬儀回。プリンセスキャロラインの若かりし頃を描いた将来への展望回。
何かと今の彼らになっているその根底を描く描写も多かった。今の自分を作っているのは過去。だからこそ向き合わなきゃならないと。
そしてボージャックホースマンシリーズの肝は、自分で決断したことがイマイチ実らないということ。
「いや、今までと同じじゃん」って思うかもしれない。
同じと言えば同じだけど
これまでのボージャックホースマンをご覧になっている方ならご存知、今までのシーズンと同じことをやっていると言われたら、あまり言い返す言葉はない。
ただ、この「変わろうとしてるけど変われない」という部分。ここにボージャックらしさがあるし、誰しも一度は経験しているからこそ、胸を打たれるというか心をえぐられることになる。
ボージャックほどの過去のゲスさは持ち合わせていなくても、何かしら後ろめたいことだったり、罪の意識を感じていることはあるのではないでしょうか?
エゴと自己嫌悪。
これ。
自分の過去と対峙して、やっぱり自分はダメだ、変われないと思って何もしないのか、またダメかもしれないと思いつつ変わろうと一歩踏み出すのか。
その辺の葛藤を、心をえぐられながら、そして楽しみながら鑑賞できるのがボージャックホースマン、
だった。
跳ね返りを気づかせようと
今までのボージャックホースマンでも、「うわぁこれ自分のことじゃん」って思わせる描写は多々あった。
でもシーズン5で違うのは、そんなボージャックを見て「自分はダメだなぁ」とか「世知辛いなぁ」とか、あるいは「ごめんなさい」と被害者ぶりつつ心の奥底では「自分はまだマシ」、はたまたボージャックに投影することで自分(鑑賞者)の罪までなくなったかのように思える、
ということに対して、ハッキリとダイアンから「ナメんな」と告げられるところ。面白おかしく大袈裟にボージャックが落ちる様子を描いているけど、あんたは気付かないフリしてんじゃないよと、さらに追い打ちをかけられると。
番組が認められたからといって、そして番組の配信が終了したといっても過去の愚行が消えるわけではない。責任が消えるわけではないし、誰かの過ちを見逃して良いわけではない。
ボージャックがフィルバートを演じることで内に秘めた感情や悪態や惨めな振る舞いが浮き彫りになったように、今度はそのボージャックを見て鑑賞者がメタ的にそれを認知せざるを得ないと。
今まではボージャックと一緒に落ち込んで(フリをして)、もっと頑張らないとなーと(上辺だけの)決意をして、これがボージャックホースマンのコメディだとシッポ振ってれば良かったはずが、ここへ来ての突き放し。
見事なまでの自分へのブーメラン。
基本的にじぶんはハッピーエンドよりもバッドエンド推しだと思ってきたけど、なんだかただカッコつけたいだけだったのかもしれないと思い始めた。救いが欲しい。
でも好き。
ま、言うて僕の受け取り方次第だし。
跳ね返りと言えば、今回もフェミニスト回とか、トッドのセックスマシーンとか、現実世界を反映させているのがあったね。
ちなみにヴァンスという復活した役者の声を担当したのは、ボビー・カナヴェイルだったけど、マスターオブゼロのシェフジェフ役でも同じような告発されるキャラを演じてたという。。
どうでも良いけど。
あれだね、重めの話になってしまうのがボージャックホースマン感想文の難点。
お馴染みのぶっ飛び回、ドラッグ回
実名を伏せて話す2人の会話回、ゼブラ回とでも言えば良いのか。なかなかぶっ飛んでいた。毎度のごとくオープニングは少しずつ変わっていたけれど、ゼブラ回はちゃんとタイトルまで変えてたね。
トッドは皇帝に、ダイアンは妃に、プリンセスキャロラインは霧女に、ピーナッツバターはチョコヘーゼルナッツに。
なんだこれ、
ボージャックホースマンの真骨頂来たな。
と思った。
自分の被害妄想とか疑惑の念に囚われて、それがさらに悪い方向へ進めてしまうというのも今回のシーズン全体を通してあったよね。
そして、もう少し後のドラッグ回を見てこう思う、
ボージャックホースマンの真骨頂来たな。
意外とこういうぶっ飛んでる中で重要な描写を入れてきたりするのがボージャックホースマン。
今シーズンで他に印象的だったのは、葬儀回。ほぼほぼ絵が動かない中で、あれだけウィルアーネットの喋りだけで惹き付けるのはちょっと並外れている。
問題を抱えつつ、結局すっきりできないまま永久の別れとなったボージャックと母。母の最後の言葉の意味を考えつつ、ハッとその真意に気付くあたりが、またね。
でも正解は分からない。自分の受け取り方次第の世界。ボージャックの世界も現実世界も。
批評家からもこのエピソードはやっぱり注目されている模様。何かしらのアワードに引っかかるんじゃないかと。
この葬儀回に関しては、チラッとこんな解釈もあった。
「本当にボージャックは葬儀に出たのか?」
そう言われると確かに、アル中のドラッグ依存症であれば全て頭の中で繰り広げられる妄想の線も捨て切れるわけではない。
往年のコメディアンばりにドラムとか鳴らしちゃってるし。最後のオチも考えると脳内で感情を整理していた感も否めない。
知らないけど。
気になるシーズン6は
シーズン5のアナウンスはシーズン4配信後の割とすぐにあったけど、シーズン6については今のところ(2018.10.03)は未定の模様。
とは言ってもボージャックはリハビリ施設に入ったし、ダイアンはどっか行っちゃったし、トッドはまたいつもの服装に戻って去って行ったし、プリンセスキャロラインはついに養子を迎えたし、ピーナッツバターはプロポーズしちゃったし、
そして一瞬、
久々にマーゴさん登場。
このままでは終わらない。
というか終わらないで欲しいという一個人の願望。
まぁ、ラファエルボブワクスバーグもまだ全然続けたいと言っているし、こんだけ作品の評価が高くて受賞歴もある人気作品をNetflixがここで見限るとは思えないから、見納めはおそらくまだ先だろう。
ということで
お馴染みのキャラも、今回からの新キャラも、見逃せない。
シリーズ一覧
そろそろシーズン2がくるnetflixのアニメ、ビッグマウス
ぶっ飛びアニメならリックアンドモーティ
なんかもおすすめです。
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