概要
基本情報
1995年 アメリカ、日本、ドイツ合作
監督:ウェイン・ワン
キャスト:
ハーヴェイ・カイテル
ウィリアム・ハート
ハロルド・ペリノー・Jr
ストッカード・チャニング
フォレスト・ウィテカー
解説・あらすじ
アメリカを代表する作家ポール・オースターが書き下ろした原作を基に、男たちの中に隠された哀しいロマンティシズムを描いた都会の物語。14年間毎朝同じ時刻に店の前で写真を撮り続けている煙草屋の店長オーギー、彼の馴染みの客で突然の事故により出産まもない妻を失って以来ペンを持てずにいる作家のポール、彼が車に跳ねられそうになった所を助けた黒人少年ラシードの3人を軸に、ブルックリンのとある煙草屋に集まる男達女達の日常を、過去と現在を、嘘と本当を巧みに交差させながら進んでゆく。
大人の映画
これは良い。すごく良い。一言で言えば、 大人の映画。まだ未見の方はぜひ観てください。
自分が観るのは2回目。正直、1回目観たの忘れてたけど。うっすら。うっすらと。「これ観たっけなぁ、どうだったっけなぁ」という葛藤はあった。でもね、すごく印象に残る。
いや、あの、説得力はものすごくないんだけどね。
ラストシーンの話なんか、つい最近、ビリーアンドマンディを見てたら「あれ、この話に似た話どっかであったよな、なんだっけな」 って思ってたらこのスモークの話だったわ。それってすごいことでしょ。無意識の中に潜むって。そんな映画ないない。
なんとなくあんまり使いたくない言葉だけど、粋を感じる 。江戸の人とかこういうなんていうか、前面に押し出さないんだけど芯食っている感じというか、そういうの大好きそうなイメージだから。粋を感じる。大人にぜひ観て欲しい。
どーでもいいけどビリーアンドマンディのオープニングかっこいいよね。大好きだわ。
さて、いきましょうか。以下ネタバレあります、ご注意を。
信じるものが
観るの2回目って言ったけど。ところどころのシーンは観れば観るほど思い出す。結局、この映画ってさ、何にも起こらない。まぁ起こらなくはないんだけどそんな大事件でもないし、「こりゃすげぇ話だぜぇぇぇ」なんて興奮する要素は皆無である。
いや、待った、ラストの話は面白い。exciting 系の興奮ではなくて、じんわりと心に染み渡って響く感じ。なんだ、心に残る。映像として撮ったのは正解だと思う。
もともと原作のある映画です、これ。ポール・オースターという人の「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」。この話が最後にオーギーがポールに語る物語。ポールってウィリアムハートが演じてる方のポールね。作家役だしややこしいけど。
ポールが映画ができた時に言っていた言葉がこれ。ポールって今度は原作者の方ね。
「信じる者が一人でもいれば、その物語は真実にちがいない」
かっこいい。ポールがこう言っているように映画の中でもポールはオーギーの話を聞いて物語を真実にする。なんかかっこつけてダサい言い方になっちゃったけど。1回目に観た時なんて「映画観てるってかっこよさそう」って思って観てた下の毛が生えたての時だったし、何にも理解してなかったんだろうなと思う。
映画はその時々の気持ち、年齢とか経験によって 見え方が変わる。30手前になって観てようやく「大人」とか「人付き合い」が分かりそうだと思わせてくれる映画である。30手前なんてまだまだ若造なんだろうけど。やはり10代の人たちを見るとじじいになったもんだと思うものである。
嘘
解説とかはそこらへんに出てるだろうし、長くなりそうだからやめておこう。気が向いたら書く。でも1つだけ。
重要なのは、「嘘」。全編にわたって嘘が取り巻いて話を作っている。それを役者陣がセリフだけじゃなくて表情とかちょっとしたしぐさとかで表現してくれる。映画って本当はこういうものなんだと。そんな思いになる映画だと思う。
印象的な
さくっと、個人的に中でも印象的なシーンとか状況を。
オーギーの撮りためている写真をポールに見せるシーン
オーギーがこんなことを言う。
「世界の小さな街角だが、色々起こる。俺の街角だ」
「同じ写真は一枚もない。晴れた日、曇った日、毎日違う角度で太陽の光が射す」
オーギーとルビーの娘(50/50)の最後に映るシーン
すんごい2人を罵った後の寄り。そして娘編は終了。
「帰れ、豚野郎」のシーン
店を閉めてるのに入ってきた客に向かって 「帰れ、豚野郎」って言っちゃうオーギー
ラシードが父親に本名を名乗るシーンの後のシーン
父はすんごく取り乱すんだけど、その後のピクニックの席でみんなで沈黙をしているシーン。
ラストに語るシーン
の2人のセリフ
オーギー「秘密を分かち合えない友達なんて友達と言えるか?」
ポール「その通り、人生の価値はそこにある」
そしてその後の話を映像化したシーン。
ドアからおばあちゃんが出てきてハグする時の2人の表情。
ということで
ほんとは1つ1つの物語とかシーンに対して色々と思いを言いたい。言いたいけど、とやかく言っても何も伝わらなさそうだからやめとく。とにかく観て欲しい、この映画。観て、感じて欲しい。それだけです。
さて、一服すっか。
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