概要
基本情報
1974年 アメリカ
監督:ロマン・ポランスキー(Roman Polanski)
脚本:ロバート・タウン(Robert Towne)
製作:ロバート・エヴァンス(Robert Evans)
キャスト:
ジャック・ニコルソン(Jack Nicholson)/ ジェイク・ギテス
フェイ・ダナウェイ(Faye Dunaway)/ イヴリン・モーレイ
ジョン・ヒューストン(John Huston)/ ノア・クロス
ダイアン・ラッド(Diane Ladd)/ アイダ・セッションズ
バート・ヤング(Burt Young)/ カーリー
ジェームズ・ホン(呉漢章 / James Hong)/ イヴリン家の執事
解説・あらすじ
R・タウンのオリジナル脚本(アカデミー受賞)をr・ポランスキーがノスタルジア・ムードいっぱいに描き出した傑作ハードボイルド・ミステリ。1937年のロスアンゼルス。私立探偵ジェイクはモーレイ夫人からダム建設技師である夫の浮気調査を依頼される。だが、盗み取りした写真がなぜか新聞に掲載され、それを見たもうひとりのモーレイ夫人が現れる。実は彼女こそ本物で、名をイヴリンという。ジェイクはこれがダム建設をめぐる疑惑と関係ありと睨んで調査を開始するが、モーレイは溺死体で発見され、ジェイクもまた謎の男たちに暴行を受ける。探偵と依頼人という関係を越えはじめたイヴリンとジェイクだったが、なおも謎は深まるばかりだった……。
批評と受賞歴
受賞
アカデミー賞:脚本賞 ゴールデングローブ賞:作品賞、主演男優賞、監督賞、脚本賞
ノミネート
アカデミー賞:作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、編集賞、美術賞、衣裳デザイン賞、撮影賞、録音賞、作曲賞 ゴールデングローブ賞:助演男優賞(ジョン・ヒューストン)、主演女優賞、作曲賞
70年代の映画
ジャックニコルソンが若い。というか細い。ロマンポランスキーも若い。なんだかこの予告編はすっごい古臭い感じが漂ってはいるけども、実際観てみると、
ちょっと古い。
けど面白い。
全然70年代のアメリカなんて知らないけど、映画の舞台になった1930年代のアメリカなんてもっと知らないけど、すごいかっこいい雰囲気が漂っている。
ハードボイルド感。
こういう物申したげな映画って、今作ると「うわ」って思っちゃうけど、70年代くらいまでの映画だったらなんとなく許せてしまう。実際フィルムの質的な古さはあるけども、それはそれで良いよね。内容も内容でなんか古さは確かにあるけども、それはそれで良い。
結構こんな感じの退廃的な映画って最近好きになってきた。どーん、バーン、みたいな何も考えずに観れるものとか、映像がとにかくかっこいいとか、そういうものが好きだったけど。つまり、色々と経験をしてきているってことだな。
まぁ、他の言い方をすれば、 オジさんになってきている ということだろう。そんなオジさんは今回はネタバレなしで進めたいと思う。
ジャンル
本作はフィルムノワールに分類される。 閉塞感というか虚無感というか悲観的というか。まぁなんだ、がっつりフィルムノワールである。
ミステリーとして
たぶん核はフィルムノワールの社会に対するもどかしさとか、そんなところなんだろうけど、普通にミステリーとしても面白かった。主人公のジェイクギテスが探偵で、完全にギテス目線で描いてくれるから観る側としても一緒に真相に近づいていく感じが楽しめる。
とあるシーン
これ。内容とかじゃなくて構図的な意味合いで、好きだわ。なんかこう、印象に残る。
とあるシーン2
冒頭の方である人が言ってた。
「この日照りで水道屋が溺死だってよ HAHAHA」
笑ってらっしゃる。
キャスト
ジャックニコルソン
ロマンポランスキー監督とは仲が良くて、チャールズマンソン事件後もロマンポランスキーを支えていたとのこと。チャイナタウンの続編で「黄昏のチャイナタウン(The Two Jakes)」(1990)が あるんだけど、これの監督をしてる。もちろん主演ジェイクギテスを演じている。
あとこの前書いた「ブロークバック・マウンテン」(記事へ)関連だけど、プレゼンターを務めたジャックニコルソンが作品賞の封筒を開けてびっくり
これ見る感じだとそんなに驚いてはないけどね、しかしこの動画の低評価さ、、
フェイダナウェイ
なんだろう。映画自体1974年で割と前だけど、設定は1930年代でさらに昔。でもこの役がすごく似合ってる。昔の貴婦人っぽい。
ジョンヒューストン
ジョンヒューストンを観てたら
岸辺一徳に見えてきた。
はいーすみませんでした。
ジョンヒューストンって「マルタの鷹(The Maltese Falcon)」(1941)で映画監督デビューをしてるんだけど、フィルムノワールを語る時は必ず出てくる作品。それの監督さんをこのチャイナタウンで役者として出すあたり、さすがはロマンポランスキーである。
と知ったかぶりをしてみる。
ちなみにジョン・ヒューストンの娘はアンジェリカ・ヒューストン(Anjelica Huston)。 ウェスアンダーソン映画によく出てるね。あとジャックニコルソンと付き合ってたね。しばらく。
製作陣
ロバートエヴァンス
やり手のロバートエヴァンスは、結果さえ出せればどんなものでも作って良し的な考え方だったから、ロマンポランスキーもやりやすかったって後日談で言ってた。
チャイナタウンに対しては特に傑作だとは思わなかったんだって。なぜなら、傑作はそれ自体が物語を作ってくれるけど、本作ではラストシーンをどうするか、 撮影直前までロバートエヴァンスとロマンポランスキーの主張が分かれて決まらなかったとのこと(ロバートタウンとロマンポランスキーかも) 。
だからそんなもんは傑作じゃない、って思ったんだろうね。当時と今では色々と映せるものが変わっているし、観客が求めているものとか、興行的なことも考えたりしなきゃならないし、今よりは割と自分の描きたいものを映画にできたんだろうね。
今がどうなのかも知らないけど。
ロバートタウン
本作でアカデミー脚本賞受賞。完璧な脚本だって言われている。ちなみに最初にロバートエヴァンスからオファーがあった時は、
ロバートエヴァンス「グレートギャツビー(The Great Gatsby)書いてくれ、$175,000やるから。」
ロバートタウン「無理。スコットフィッツジェラルドの小説より良いのなんてまじ無理。」
ロバートタウン「違うの書きたいんだけど。$25,000でいいから。」
ロバートエヴァンス「おっけー」
てな感じだった。
ジェリー・ゴールドスミス(Jerry Goldsmith)
音楽の人だね。170本程の映画を手がけてアカデミー賞18回ノミネート。すごいね。
カメオ出演
ギテスの鼻を切るギャング役。これはロマンポランスキー監督である。
伸縮する特注のナイフを使用。
「「逆側だと本当に切れちゃうからよく見てくれよ」ってジャックニコルソンに言ったら迫真の演技が撮れたHAHAHA」ってロマンポランスキー監督が言ってた。
元ネタ
「California Water Wars」にインスパイアされているとのこと。「California Water Wars」ってLA中心に起こった事件というか、争いみたいなやつ。カリフォルニアの水の戦争(直訳)。
よくわかんないけど、19世紀後半にロサンゼルスが発展してきて、でもそのせいで水の供給がなかなか難しくなってきて、OwensValleyってところから水を持ってくるためにLA導水路が作られたと。
で、LAには結構水がくるようにはなったんだけど、OwensValleyの方では農業とか芳しくなくなるくらい逆になくなっちゃって農家の人たちは導水路をぶっこわしちゃおうか、って行動してたりしてた。
とまぁそんな感じ。あれだね。利権争いだね。これで大儲けできるんだろうね。こういうところで大儲けした人って法律とかモラルとかはしらないけど、なんとなく悪いイメージ。でも、20世紀初頭とかにどんなに悪いことしてお金稼いでたとしても、そういう人たちが今の世の中を牛耳る礎を築いているんじゃないかなぁ、と思うとなんだかちょっと心踊ってしまう。
雑談
すっごいどうでもいいんだけど。誰かが「あれは大したタマだぜ」ってセリフをいう時に「Damn apples」みたいに聞こえたんだけど。appleってそういう意味があるのかなー。ブロークバックマウンテンでもコヨーテを狩った時にヒースレジャーのセリフで キンタマうんぬんのセリフの時にappleって言ってたような気がするんだよなぁ。
うん。ライトな下ネタすみませんでした。
ということで
まだ観てない方はぜひ、チャイナタウンご覧ください。
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