概要
基本情報
2003年 アメリカ
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(Alejandro González Iñárritu)
キャスト:
ショーン・ペン(Sean Penn)/ ポール・リヴァース
ナオミ・ワッツ(Naomi Watts)/ クリスティーナ・ペック
ベニチオ・デル・トロ(Benicio Del Toro)/ ジャック・ジョーダン
シャルロット・ゲンズブール(Charlotte Gainsbourg)/ メアリー・リヴァース
ダニー・ヒューストン(Danny Huston)/ マイケル・ペック
ジョン・ルービンスタイン(John Rubinstein) / 婦人科医
クレア・デュヴァル(Clea DuVall)/ クローディア・ウィリアムズ(クリスティーナ妹)
メリッサ・レオ(Melissa Leo)/ マリアンヌ・ジョーダン
エディ・マーサン(Eddie Marsan)/ 牧師
ポール・カルデロン(Paul Calderon)/ ブラウン
デニス・オヘア(Denis O’Hare)/ 医師
ケヴィン・チャップマン(Kevin Chapman)
リュー・テンプル(Lew Temple)
解説
全く知らない同士の女1人と男2人が1つの心臓をめぐり引き合わされていく。時間軸を交差させながら展開する衝撃の人間ドラマ。主演に『ミスティック・リバー』のショーン・ペン、悲劇の母親を演じるのは『ザ・リング』のナオミ・ワッツ、人生のほとんどを刑務所で過ごしたクリスチャンの男に『トラフィック』 のベニチオ・デル・トロ。この主演は3人とも第76回アカデミー賞にノミネートされている。監督の『アモーレス・ペレス』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥはほとんどを手持ちカメラで撮影しその臨場感は物語に迫力を与えている。
あらすじ
クリスティーナ(ナオミ・ワッツ)は建築家の夫と2人の幼い娘に囲まれ幸せな家庭の主婦。また、ジャック(ベニチオ・デル・トロ)は刑務所から出所してからは神を信仰し、真面目に働き2人の子供と妻を養っている。一方、大学で数学を教えるポール(ショーン・ペン)は余命1か月と宣告され心臓のドナーを待つ日々だった。
批評と受賞歴
受賞
フロリダ映画批評家協会賞:主演男優賞、主演女優賞
インディペンデントスピリット賞:
ロサンゼルス映画批評家協会賞:主演女優賞
サンディエゴ映画批評家協会賞:主演女優賞
ヴェネチア国際映画祭:男優賞
ノミネート
アカデミー賞:主演女優賞、助演男優賞
英国アカデミー賞:主演男優賞(ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ)、主演女優賞、編集賞、脚本賞
※ノミネートは相当数されてます。
批評
・Rotten Tomatoes:80%、7.5 / 10 ・Metacritic:70 / 100 ・Roger Ebert:3 / 4
水を「じゅっ」
「もちつもたれつで give and take」
小田和正の「言葉にできない」をサンプリングした Hi-Timezの「in my words 言葉にできない」の歌詞の冒頭をふと思い出す。あくまでも冒頭だけなので全体の歌詞は全く内容と関係ないです。ただ、「持ちつ持たれつ」とか人との関わりってことをふと感じ取ったんで思い出したのだと思われる。
これは面白かったっす。運命というか、必然と偶然というか、生と死というか、人生というか。そういうのってなんなんだろうなぁと考えるきっかけになる。
全体的に切なさが漂う。そんな中にどっぷり浸かってしまうと心が蝕まれていく。こう、
じりじり焼かれた心に、たまにちょろちょろと水をかけて「じゅっ」ってさせる。
そんな映画だと思います。というこの上ない説明下手な紹介。そんな感覚必要ないですって人には、演出方法に注目してみると良いかもしれません。その辺も含めつつ軽くネタバレありつつ参ります。ご注意を。
タイトル21グラムの由来
一度は聞いた事があるかもしれない。
「人の魂の重さは21グラム」
僕はこういうオカルトチックな話、好きです。この実験をした人はダンカン・マクドゥーガル(Duncan MacDougall)っていうアメリカのお医者さん。患者6名と15匹の犬を使って、体重の変化を計測。人が死ぬ時に水分やら汗の蒸発とは違う「何らか」の重量を失うが、犬の死の場合はそれが見られなかった。という実験結果を残した。
結局、測定のずさんさとか数の少なさとか「死」の基準の曖昧さがあって、信憑性は認められていない。でも僕は、こういうオカルトチックな話、好きです。
本作はこの話に乗っかって、魂ってなんだろうねってことを問いかけてくる。そんな映画。
ハイパーリンクシネマ
ハイパーリンクシネマ(Hyperlink cinema)。21グラムのwikiの参照のところにこの単語があった。手法というか、ジャンルというか、その辺の名称なんだけど、複数のキャラクター毎のストーリーを少しずつ見せていったり、その複数のキャラクター毎の繋がりを少しずつ見せていったり、プロットを時系列じゃなくてぐちゃっとねじってみたり。そんなやつのこと。
イメージしづらいかもしれないけど、多分例の作品を挙げれば感覚で分かるかと。
- ロバートアルトマンのナッシュビル
- タランティーノのパルプフィクション
- ガイリッチーのロック、ストック&トゥースモーキングバレルズ、スナッチ
- ロバートアルトマンの継承者ポールトーマスアンダーソンのマグノリア
- フェルナンド・メイレレスのシティ・オブ・ゴッド
- スティーヴン・ソダーバーグのトラフィック、コンテイジョン
- アダムマッケイのマネーショート
といったところ。この辺が好きなら楽しめるかと。物語がどうとかじゃなくて構成をね。
ベニチオ・デル・トロという男
シーン、映す角度、表情、これによってこのベニチオデルトロという男は、色んな人になる。「あれ?あいつに似てるな、いや、あいつか?」って感覚を何度も何度も味あわせてくれる。
例えば、 ブラピ。
サンドウィッチマン富沢
MAJORのギブソン
樹木希林
これだけ並べて分かった。
押し通すにはさすがに無理がある。
持ちつ持たれつ
持ちつ持たれつっていうとちょっと違うけど。相互作用というか、因果というか。ジャックが事故を起こさなければ(そして逃げなければ)、助かってドナーにはならなかったわけで、移植がなければ、クリスティーナのことを調べなかったわけで、復讐しようとしなければポールは助からなかったかもしれないわけで。
どれかが欠けると彼らが交差することはなかった。禅の言葉でも「我逢人」とあるように、人と逢うことから全てが始まる、と。もちろん、人と関わることで不快になったりすることもあるけど、そこから救ってくれるのもまた人ってこともかなり多いものですからね。
何もないよりは、問題があるくらいの方が、真っ最中は辛くても後々振り返ると意外と楽しい思い出になったりするもんです。と、脱線具合がひどくなりそうなので終わります。
ということで
以上、21グラムでした。基本的にはハイパーリンクシネマのところに書いた作品はどれもオススメですが、最近の記事で言えば シティ・オブ・ゴッド(記事へ)、
ショーンペンが監督した イントゥザワイルドなんかも。
ナオミワッツは マルホランドドライブ(記事へ)
なんかもおすすめです。
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