とある若者が、自身の悩みと向き合いつつも、他人とのやりとりを通じて、生きる意義を見つけていく、そんな映画。
これを別の言い方をすれば、
普通の映画。
これ以外の何者でもない。
何が悪いということもないのだけど、この種の他の映画と比べて特別に何かが秀でているかと問われると「うーん」と返答に困る、そんな映画。
言葉にできないような感情になるから言い表せられない、ということでもなく、あえて言えるようなことがないという。
悪口を言っているように聞こえるかもしれないけど、ただただ普通、それこそがこの映画の良いところでもある。
奇をてらいすぎていない感や、ちょっとしたオフビート感、なんとなく感じが良く、ある程度独特で、それなりのキャラクター、ほのかなユーモア。突飛すぎないその映画全体の雰囲気が合っている。
つまり、
ポテンシャルはある
ということである。
この微妙なニュアンスを以下に。
概要
基本情報
2010年 アメリカ
監督・脚本:
アンナ・ボーデン(Anna Boden)
ライアン・フレック(Ryan Fleck)
キャスト:
キーア・ギルクリスト(Keir Gilchrist) / クレイグ・ギルナー
エマ・ロバーツ(Emma Roberts)/ ノエル
ザック・ガリフィアナキス(Zach Galifianakis)/ ボビー
ヴィオラ・デイヴィス(Viola Davis)/ イーデン・ミネルバ先生
ゾーイ・クラヴィッツ(Zoë Kravitz)/ ニア
トーマス・マン(Thomas Mann)/ アーロン
マシュー・マー(Matthew Maher)/ ハンブル
エイドリアン・マルティネス(Adrian Martinez)/ ジョニー
アーシフ・マンドヴィ(Aasif Mandvi)/ 最初の先生
ローレン・グレアム(Lauren Graham)/ リン・ギルナー
ジム・ガフィガン(Jim Gaffigan)/ ジョージ・ギルナー
ジェレミー・デイヴィス(Jeremy Davies)/ スミティ
あらすじ
精神病院に短期入院した少年が、様々な患者たちとの交流を通して人生の意義を見出していく姿を描いた青春ヒューマンコメディ。うつ病の治療を受けている16歳の少年クレイグは、自殺願望が強くなったことに焦りを感じて精神科に駆け込む。5日間の入院を言い渡されたクレイグは、幼い娘を持つ男性ボビーや自傷癖のある美少女ノエルと出会う。出演は「ハングオーバー!」シリーズのザック・ガリフィアナキス、「最低で最高のサリー」のエマ・ロバーツ。
原作の同名小説
本作には原作がある。
ネッド・ヴィッツーニ(Ned Vizzini)の同名小説を原作としていて、彼が鬱で実際に入院していた時のことを元に書かれている。
ちなみに、ネッド・ヴィッツーニという人は2013年にはクリス・コロンバス(Chris Columbus)と一緒に、House of Secretsを書いたりしている。
本作に対して酷評をしている人たちは割と原作を読んでいて、「原作は素晴らしいのに何で映画はこんなことになっちゃってるの?色々と表しきれてないよね」的な発言が目立つ。
それだけ評価の高い作品だった模様。
残念ながら、ネッド・ビジーニは32歳の時に飛び降り自殺をして生涯を閉じているのだけど、それを鑑みると、本作のメッセージを自分自身に言い聞かせようとしている感じがしてきて、切ない。
原作と同じメッセージかは知らないけど。
浅い闇さ加減
若者の悩み、それは人それぞれだし、感じ方も様々だとは思う。冒頭で説明されているように、主人公のクレイグが抱えている悩みは、「父親の期待を背負い、好きな子は親友の彼女」ということ。
酸いも甘いも経験してきた大人が観ると、甘ったれてんなと思ってしまうかもしれないけど、本人にとっては超重大な悩みである。
この、「こんな悩みは僕しか抱えていないし、他の誰に言っても共感はできないし、解決もできないし、だったら人生やめちゃおうかな」という冒頭での主人公の姿勢に対して、大人の落ち着いた考えで暖かく見守れるのであれば、問題なし。
これに耐えられないようであれば、その後のストーリーを観てもダメかもしれない。
僕は、「あーこういうやついるよね、この映画はそういうパターンね」と、最終奥義かつ最低な姿勢、小バカにして面白がる技で乗り切った。
と、ここまで叩き気味で書いてしまったけど、なぜかクレイグに「嫌ではないけど、もうちょっとちゃんとしろよな」的な思いを抱いてしまったのは、自分がそうだったからかもしれない。
ふむ。
もう少しフォローすると、自分が鬱だと思い込んでしまうのは誰にでもあると思うし、少しはクレイグに共感出来るような部分もあるのではないか。
この、軽度な鬱というか、青春時代ならではの思い込んでしまう節とか、周りからしたら大したことではないことに悩んでしまうところとか、その辺の他人からしたらどうでも良いような微妙な悩み、ということに意味があるんだろう。それだけ普遍的で、「よくいる」感を醸し出すにはとても良い。
それでいて、軽めの入院生活(5日間)で何となくそれが解決されるような、そして、可愛い子とお近づきになれただけで(気持ち的に)人生が好転する展開にできそうな、そのくらいの、気の持ちようで何とかなりそうな悩みだということ。
ま、実際、
かわい子ちゃんと親しくなれるだけでだいぶテンション上がるのは否めない。
個人的には、もう少し深い闇があるとなお良し。と最初は思ってしまったけど、その辺りを考慮すると、まぁこれくらいが妥当な線なのかもしれないとも思った。
生まれ変わろうとしない者は死に急ぐんだ
劇中で引用されていたボブディランの曲の歌詞。曲は「It’s allright,Ma」
この曲の “he not busy being born, Is busy dying” 。この部分だね。ニュアンスを考えると、結構訳すの難しいね。
曲の中での流れを見るか、このフレーズだけ切り取るかでなかなか取れる意味合いも変わってきそう。偉大だな、ボブディラン。
ものすごく、「細胞分裂ができなくなって老化していく」ということを思い出すのは僕だけかもしれない。
音楽つながりで言えば、本作の最高潮の部分でこれが流れる。こちらも偉大なロックバンド、Black Sabbath の 「It’s Alright」
ここはあれだね。良かった。曲。
ということで
総評をすれば「普通」ということになるのだけど、なかなかポテンシャルのありそうな作品。
割とヴィオラデイヴィスに期待をしてたんだけど、あんまり活躍の場がなかった。
生きる。
似ているかどうかは分からないけど、ウォールフラワーなんかも雰囲気同じ系統そう。
ティーン系で、ジュノとか。
あと、全然似てないけど、ふわっと思い出したのは、
ネブラスカ
もっと大人感だけど。
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