概要
基本情報
2012年 日本 アニメーション映画
原案・監督・脚本・絵コンテ:沖浦啓之
キャスト:
美山加恋
優香
坂口芳貞
谷育子
西田敏行
山寺宏一
チョー
あらすじ
父親を亡くしたももは、11歳の夏に母と2人で東京から瀬戸内の小さな島へとやって来る。彼女の手には、「ももへ」とだけ書かれた父からの書きかけの手紙が遺(のこ)されていたが、その真意はついにわからずじまいだった。ももは仲直りできないまま逝ってしまった父親のことで胸がいっぱいで、慣れない場所での新しい生活になかなかなじめずにいた。
夏のアニメ
前回の記事(虹色ほたる 〜永遠の夏休み〜) に引き続き、夏のアニメ映画を。奇しくも2作連続の2012年のアニメ映画でした。2012年のアニメ映画のリスト改めて見たら、「紙ひこうき」も2012年か。紙ひこうきというかシュガーラッシュというか。なかなか良作が揃っておりますな。
監督さんは「人狼JIN-ROH」のお方ですね。そしてこちらも前回記事に引き続き、おばあちゃんに谷さん再び。
賞的なものは、
文化庁メディア芸術祭アニメーション部門 優秀賞
ニューヨーク国際児童映画祭 長編大賞
芸術選奨新人賞メディア芸術部門
これも全体的には古き良き日本をすごく出していた。舞台は瀬戸内。島が多い。なんでも監督さんが自身のルーツである瀬戸内海を描きたいという思いがあったとのこと。僕は行ったことがない。けどすごく良さそうだなぁ。
風景的なものはがっちりリアルに、人物の表情とか動きはデフォルメ。
この組み合わせがたまらない。ってどっかに書いてあった気がする。確かにそう思う。
この映画、なかなか良かった。些細な不満はあるけど。それでも良かったよ。というかまた泣きそうになったわ。さぁ本題。以下ネタバレありますご注意を。
第一印象
第一印象は
「なんか顔が気になる。」
冒頭のフェリーのシーン。全ての前触れとなる水玉というか雫?水滴?水滴でいこう、水滴が落ちてくるところを見届けたあとのフェリーから降りてくるシーン。
すごい細かいんだけど、全然関係ないおじさんが出てくんのね。そのおじさんの顔見たとき一瞬キング・オブ・ザ・ヒルを思い出した。
あとあれ、おもひでぽろぽろもちょっと同じ匂いがする。
それから、ところどころトトロを思い出す。自分のアニメ知識はだいぶジブリに支配されてるなーと、ふと思う。
舞台と登場人物
舞台の瀬戸内。広島県呉市、特に御手洗地区。方言がすごく良い。こちら方面の知人は本当に少ないからなかなか直接聞く機会がほとんどない。それもあってか、憧れの気持ちすらある。
東京から母のいく子と2人で引っ越してきたもも。この場所、まぁまぁ、田舎ですわ。でもその街並みとか風景とか人間関係とか、やっぱりその辺は虹色ほたると同様すごく温かみを感じる。
でも、知らない土地に、知らない人たちに、そして謎の妖怪。そりゃ不安で嫌にもなるよね。そんな状況で、ももが成長するための壁は
父と母と友
そこに 妖怪3人 が関わってくると。サポートしますと。
父
父はどうしたかというと水難事故で亡くなっている。不幸は突然やってくるもんだ。ももはリビングでテレビ見てたしね。なんで自分ばっかりって思うよね、自分ばかりが不幸だって。ケンカが最後の別れとなってしまったことを考えると、後悔残りますわそりゃ。
父関連で残っているのは「ももへ」とだけ書かれた手紙。
なんて書きたかったんだろう。なんで書かなかったんだろう。
これはいろいろと妄想してしまいますな。
母
母は引っ越してきてから全然一緒にいてくれない。自分のことなんて考えてくれてないんだって思っちゃうよね。帰りたければ帰れば良いじゃんとか言っちゃうしね。
友
同年代のグループがいる。このグループ、橋から海への飛び込みにはまっているらしい。ももはなかなか飛べない。儀式だよね、通過儀礼。飛び込めた時が本当の友達になって、ももも成長しましたよ的なね。この辺をね、乗り越えていくんですよね。妖怪のサポートがありつつ。
妖怪3人
イワは西田さん。もうね、完全に西田さんの声。最後の方は慣れてきたけど最初は西田さんの顔が浮かぶ浮かぶ。顔知っちゃうとね、思い出しちゃうよね。山ちゃんも然りだけど。
良いところ
さて。特に良かったのは、母が見ていたアルバムをももも見るシーン。仲良さそうな写真のスライドショーですよ。これだけで泣きそう。そこへ母が元気そうにしている回想シーンでしょ。耐えるの必死だよもう。
あとはやっぱり藁舟が返ってきて父ちゃんの手紙を見るシーンね。やばいよ。ずるいよ。最後は父からなんかメッセージがあるとは思ってたけどさ。普通の文章だよ?
「頑張ったな、お母さんをよろしく頼むぞ。いつも見てる。父より。」
でもそれが父ちゃんらしいって。泣けるよこれ。
そうそう、この祭りさ、わら船を出す祭りね、愛媛の今治でやってる「宮島さん」と呼ばれる祭りでいいのかね?男の子の健康を祈って厳島神社へ向かって船を出すと。父親が船持って海に入っていくと。で陸へ帰ってくると。
お父さんは海の研究者だったしね。調査船の事故で亡くなっちゃったしね。ふむ。なるほどね。良いじゃん。
地味に良いのは最後の飛び込みシーンでももが方言を使うところ。ようたと2人で笑っているところまで含めてなんと微笑ましいことか。
あとストーリーじゃないんだけど、いく子の声は優香がやっている。最後まで全然気づかなかったけど、普通にうまくない?と思った。
どうでも良いんだけど、最後の盛り上がりの橋を渡るところ。妖怪がぶわぁっと集まってトンネルみたいになってんだけど。めっちゃ猫バス思い出した。その後のベッドシーンもトトロの病院のシーンを思い出す。トトロ要素が満載である。
総評としては
普通に良かった。
これだな。子供が見るしね、わかりやすく、シンプルに。
ちなみに映画のキャッチコピーは
「気がつけば、私、ひとりじゃなかった。」
うん。そのまんまだね。ももにとっても母にとっても。いやしかし、
うみちゃんかわいかったわ。
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