ナルコス シーズン2 / Narcos SEASON 2

シーズン1の時点で十分面白いと思っていたけれど、それよりもさらに良い評価を得たシーズン2。シーズン1がパブロエスコバルがどうやって彼の帝国を築き上げたかが中心だったから、描いた期間は10年以上。それに対してシーズン2は、頂点から転落していく様子を描く。

まだご覧になっていない方は今すぐにでも。

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概要

基本情報

2016年 アメリカ

製作:
クリス・ブランカトー(Chris Brancato)
カルロ・バーナード(Carlo Bernard)
ダグ・ミロ(Doug Miro)

脚本:クリス・ブランカトー(Chris Brancato)

キャスト:
ヴァグネル・モウラ(Wagner Moura)/ パブロ・エスコバル
ボイド・ホルブルック(Boyd Holbrook)/ スティーブ・マーフィー
ペドロ・パスカル(Pedro Pascal)/ ハビエル・ペーニャ
ジョアンナ・クリスティ(Joanna Christie)/ コニー
ディエゴ・カターニョ(Diego Cataño)/ ラ・キカ
パウリナ・ガイタン(Paulina Gaitán)/ タタ
ラウル・メンデス(Raúl Méndez)/ セサル・ガビリア
マロノ・カルドナ(Manolo Cardona)/ エドゥアルド・サンドバル
クリスティーナ・ウマニャ(Cristina Umaña)/ ジュディ・モンカダ
アルベルト・アンマン(Alberto Ammann)/ パチョ
ダミアン・アルカザール(Damián Alcázar)/ ヒルベルト・ロドリゲス・オレフエラ
ファン・パブロ・シュク(Juan Pablo Shuk)/ マルチネス大佐
レイナール・ゴメス(Leynar Gómez)/ リモン
マルティナ・ガルシア(Martina García)/ マリッツァ
ステファニー・シグマン(Stephanie Sigman)/ ヴァレリア
モーリス・コンプト(Maurice Compte)/ オラシオ・カリージョ
ジョン・マイケル・エッカー(Jon-Michael Ecker)/ レオン

 

転落していく中で見えるもの

最優先の家族

シーズン1ではエスコバルが帝国を築くまでの長い年月を見て、その世界観とかパブロエスコバルがどんな価値観を持っているかを知る、そういう楽しみ方だった。シーズン2がある時点で、上から落ちていくのはまず間違いないと。じゃあ、

どうやって落ちていくんだろう

というのを最初に考えると思う。シーズン2はパブロエスコバルが脱獄するところから始まり、その生涯を終えるまでの1年くらいが描かれる。観終わった後に思うのは、どうやって落ちるかを楽しむというよりも、帝国が崩壊していく中でパブロエスコバルが何を考えて何を大切にしていたのか、を見せてくれる。それを楽しむ方が強い。

落ち着いて平然と脱獄した後は何度もアジトに踏み込まれ居場所を転々とする。そこでエスコバルが最優先で考えているのは、家族。もちろん自分が生き残る事も考えてはいるけど、家族だけはなんとしてでも守るという意志がある。近くにいて、一緒に生活したいという気持ちと、一緒にいたら家族が殺されるかもしれないという気持ちの戦い。その葛藤の様子がなかなか素晴らしい。

妻のタタとはお互いを尊重して信頼している、そんな関係。もちろん心配はするけど、その根底には、パブロなら大丈夫、タタなら大丈夫、と。こんな関係築けたら最高だよね。極限状態で見られるこんな様子を見たら、僕も早くパートナー見つけないと、と思いました。

BB-8のおもちゃで遊んでる場合じゃない

と。

信頼と裏切り

普段はボスを敬って崇拝していたとしても、窮地に立たされた時にどういう行動をとるか。そして裏切られた方はどんな感情を抱くか。エスコバルは信頼できるかどうかを特に重要視していたのが各場面から分かる。疑心暗鬼な感じもあったりはするけど、裏切られた時のリスクは相当大きいしね。現にラ・キカが「遠くに行った」ことを知ったエスコバルは

引きこもりになった。

それも親父の家に。そこでも家族の話をするエスコバル。自分の過去を振り返り、自分について、家族について考える。そして、最終的に自分の街メデジンに戻ってくると。この戻ってきたラストのエピソード好きだった。自分の街に帰ってきて、でも誰もエスコバルだって気づかずに彼はベンチでグスタボとの脳内会話を楽しみ、そして決意をする。

戦う決意

最終的に最後まで戦うことを決めたエスコバル。「逃したパブロほど危険なものはない。」とセリフでもあったけど、パブロも逃げ回るだけではなく、町中にいる潜んでいるパブロの味方、兵隊たちを使って監視させて、警官たちを容赦無くどんどん殺す。怒りモードのエスコバルはかなりやばい。

けど、そんな状況だとやっぱり、お互い歯止めが効かなくなって行くとこまで行っちゃうよね。そのエスカレートしていく様子もハラハラする。そういう意味ではアクション的な要素も未だ健在。

そんな感じでエスコバルの感情の揺れ動きを色々と見せてくれた。演じたヴァグネル・モウラは本シーズンで超賞賛されている。

 

それぞれの思惑と価値観

エスコバル側だけではなくて、DEA側、コロンビア政府側、ジュディ側、カリカルテル側等々いろんなコミュニティがそれぞれ交錯する中で起こるドラマも魅力の一つ。冷静に考えると1つの組織に対して、国が全力で叩き潰しにくるって相当だな、って思うよね。

エスコバルは間違いなく悪い側の人だけど、「敵の敵は味方」理論でロスペペスを利用して、情報を共有し相手の人数を減らしメデジンカルテルを追い込むDEA側とコロンビア政府側。最終目標となる大きい獲物1人をターゲットにしているとは言え、そのやり方で良いのか、その荒れた制御不能な状況を黙認していて良いのか。その辺の、どちらが正義でどちらが悪か、というより

そこに正義はあるのか、モラルの問題は

と、正義自体が曖昧になっていく感じが良い。それぞれのキャラに信念があって、綺麗事はなんとでも並べられるけど、現実社会はもっと複雑。はっきり白黒つけられるものなんて、ほとんどないのかもしれない。

 

ナレーションとキャラクター関係

今回のナレーションは

シーズン1で大変不評だった、マーフィーのナレーション。シーズン2ではどうかというと、

60%カット

らしい。シーズン1では10年以上を描くから説明をきっちりやらないと、ってことでナレーションを多用していたんだと思うけど、シーズン2では説明要素はそんなに必要なくなったから。個人的にはシーズン1の時からそんなに気にしてなかったし、なんとなく、スコセッシへのオマージュだろうと勝手に思い込んだら全然イライラはしない。

新キャラ

リモンが急に出てきて大出世していったよね。常にエスコバルの近くにいて、そして結局最後まで一緒にいた人物になった。カルテルに入ってから、どんどん悪に染まっていくリモン。その変貌ぶりもなかなか見所の1つ。マリッツァは可哀想すぎるけど。

もう1人。出番はそんなにないのに、CIAの人が妙な存在感を出していた。見た目的にも、性格的にもゆるい感じで、印象薄そうに見えて実は重要キャラになりそうな位置付け。全てを知っている感じね。シーズン3への布石かな?

エスコバルの息子が語る

一応、元ネタというか実話を元にしているとは言え、ドラマ的に変えている部分も多数ある。パブロエスコバルの息子曰く、シーズン2に関して言えば、タタの兄弟の描写とか異なる部分は結構あるとのこと。興味ある方はこちらからどうぞ。英語だけど。

Pablo Escobar’s son lists 28 'mistakes' made in Narcos season 2
Sebastian Marroquin authored Pablo Escobar: My Father

 

シーズン3は

シーズン1、シーズン2でメインだったパブロエスコバル。彼がいなくなった後のシーズンはどう展開するのか。もちろん、カリカルテルだよね?きっと。むしろこれだけ蒔いておいてシーズン3以降でカリを描かなかったらやる意味なし。ジュディも降ろしたしね。

画像に特に意味はないです。

ということで

シーズン1よりももっと面白い、パブロエスコバル編後半戦のシーズン2でした。

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