腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

 

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概要

基本情報

2007年 日本
監督:吉田大八
キャスト:
佐藤江梨子 / 和合澄伽
佐津川愛美 / 和合清深
永瀬正敏 / 和合宍道
永作博美 / 和合待子
上田耕一 / 和合曾太郎
土佐信道 / 小森哲生
山本浩司 / 萩原
谷川昭一朗 / 神野
吉本菜穂子 / 審査員(女性)
湯澤幸一郎 / 審査員(男性)
米村亮太郎 / 田嶋
ノゾエ征爾 / オーディションの相手役
大原真理子

漫画:呪みちる

解説

自身の劇団を率い、「生きてるだけで、愛。」が芥川賞候補になった気鋭の女流作家、本谷有希子の同名大ヒット戯曲を映画化。家族をいたぶる自意識過剰なヒ ロイン、そんな姉におびえながらもしたたかな妹、家族の秘密に翻ろうされる兄、その妻が繰りひろげる愛憎劇を赤裸々かつブラックに描く。監督はCM界で活 躍し、本作が初長編となる吉田大八。主演に佐藤江梨子、共演には『蝉しぐれ』の佐津川愛美、永瀬正敏、永作博美ら個性派が勢ぞろいする。

あらすじ

両親の訃報を受け、女優を目指して上京していた澄伽(佐藤江梨子)が4年ぶりに舞い戻ってくる。自意識過剰な彼女は、自分が女優として認められないのは家 族、とりわけ妹の清深(佐津川愛美)のせいだと家族をいたぶる。兄の宍道(永瀬正敏)も澄伽には気を遣い、横柄にふるまう彼女によって一家の日常はきしみ だしてゆく。

批評と受賞歴

  • キネマ旬報ベスト・テン:2007年度日本映画ベスト・テン 第10位、日本映画助演女優賞(永作博美)
  • 第50回ブルーリボン賞:助演女優賞(永作博美)
  • 第32回報知映画賞:助演女優賞(永作博美)
  • 第29回ヨコハマ映画祭:主演女優賞(佐藤江梨子)、助演男優賞(永瀬正敏)、助演女優賞(永作博美)、新人監督賞、撮影賞(阿藤正一)
  • 第23回ワルシャワ国際映画祭:フリースピリット部門大賞

 

ブラック

面白い。

これは素直に面白い。「桐島、部活やめるってよ」(記事へ)の面白さに感動して吉田大八監督の作品を観てみようととりあえず映画初監督作品をみてみる。

(個人的な)期待値が高い中、見事にそれに応えてくれました。もっと好きになりました大八先生。本作品は上記の解説とあらすじにもあるように、 ブラック・コメディです。

まぁ中々エグい内容だけれども、ちゃんとコメディ感と風刺感をうまい具合に組み合わせている。このバランス感は素晴らしいと思う。

それにしても、これを観てからというもの、主題歌のチャットモンチーの「世界が終わる夜に」をものすごい勢いでループしている。

最高です。

さて、今回はネタバレありで参ります。 以下、ネタバレあります、ご注意を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自意識過剰な勘違い女

「豪華で可憐で強欲。女優を目指し、家族をシカトして上京するが、実は自意識過剰な勘違い女」

公式サイトでの姉・澄伽の紹介文。

この姉の設定、これを思い出さずにはいられなかった。

「ブルージャスミン」(記事へ)のジャスミン
「欲望という名の電車」(記事へ)のブランチデュボア

ブルージャスミンは2014年だから本作よりもだいぶ後だけど。プライドの高い傲慢な自意識過剰な勘違い女。まさに。そしてどちらも姉。特にブルージャスミンのコメディ感とほぼ同じような感じ。

ちなみに、兄・宍道が持っていたビデオ、つまり澄伽が出演した作品のタイトルは「欲望の交差点 誘われる女」。完全に思い込みだけど、「欲望という名の電車」と結びつきを感じてしまう。

結局、ブラックコメディたる要素は、妹・清深の

「やっぱお姉ちゃんは、最高に面白いよ」

このセリフに集約されているような気がする。澄伽のあの痛々しい感じを風刺する役割を清深が担っていると。

自分の場合は、何の予備知識もなく観てしまったけど、それで良かったと思う。予告編やら公式サイトの紹介やら、このセリフががんがん出ちゃってるから、まさかこんなサイコな、ホラーな、そしてブラックコメディな感じになるとは全然思ってなかったわけで、逆に知らなくて良かったと思う。

 

役名:和合澄伽

和合澄伽の「伽」の字を探していたら「 伽」の意味が出てきて面白かったから書いてみる。

「伽」

・退屈をなぐさめるために話し相手をすること。また、その人。

この字を使った単語で夜伽というものがある。

「夜伽」(よとぎ)

・女が男の意に従って夜の共寝をすること。おとぎ話のとぎ。

周りを飽きさせないという意味では澄伽は本当にキャラの強い人物。そして夜伽の意味も絡むと、ものすごい澄伽をよく表している字だなぁ、と、ふと思った。

自分を必要としてくれるお兄ちゃんと夜伽。上京資金をくれる萩原君と夜伽。枕営業みたいなものですと。他は特に描かれないけど、目的を果たすためには手段は選ばない澄伽は他にも夜伽しているんだろう、きっと。

 

主人公は誰か

主演:佐藤江梨子
っていうのがなんだか違和感があった。確かに騒動の中心はサトエリ演じる澄伽。に見える。

でもその澄伽を面白おかしく仕立て上げるのは清深であり、さらに言うとそんな姉妹と兄、つまり和合家を明らかにしようとするのは兄の嫁である待子の役割。最後まで見ると、澄伽の狂気さが一番人間味のあるように感じてしまう。

いまいち分からないのは待子さん。「和合家」を見ていくために待子さんの「外部」な感じを使うことで、観客は待子さんに意識を合わせて和合家の秘密を探っていくのかと思ってたけど、そうでもなさそう。というか、待子さんが一番狂気的なものを持ち合わせている気もするし。

3兄弟のドロドロなバチバチの崩壊っぷりを見ていくと思いきや、待子さんがそこに拍車をかけてもいるし。不気味な人形作ってたり、気づかないふりして意図的に和合家をかき乱しているようにも見えなくもないし、「家族」というものに単純に憧れを持っているだけのようにも見えるし。なんだろうこの人。あの人形も何かに活かされたっけ?

 

言いたいことは何か

清深が胸の内を全て吐き出して、澄伽が襲いかかる。その時のセリフ。

4年前と同じ。変わってない。自分も変われなかった。

人は中々変われないんだと、最後まで皮肉って終わるかと思いきや、扇風機が動き出したところを境に何かが変わったんだろう。

最後まで見なさい。これからがおもしぃんやから

って言われた後は、普通の綺麗な姉のスケッチをする清深。

ブラックなまま終わっても良いと思ったけど、救いの手を差し伸べたよね。でも気になるのは本当の最後の部屋のカット。あれが何を意味しているのか。色々と考えがよぎる。

家族愛の強い兄が自殺し、プライドが高い勘違い女の姉は少しは自分を見直し、盗み聞き、盗み見をしては面白がって表現する妹も上京。

そして家族に憧れがある嫁が1人家に残される。

ここも皮肉か。もう一回、見直してこよう。

 

ということで

吉田大八監督の最高の長編第1作目でした。

もちろん、桐島部活やめるってよ も忘れてはならない。

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