概要
基本情報
1951年 アメリカ
監督:エリア・カザン(Elia Kazan)
脚本:テネシー・ウィリアムズ(Tennessee Williams)
キャスト:
ヴィヴィアン・リー(Vivian Leigh)/ ブランチ・デュボア
マーロン・ブランド(Marlon Brando)/ スタンリー・コワルスキー
キム・ハンター(Kim Humter)/ ステラ・コワルスキー
カール・マルデン(Karl Malden)/ ハロルド・ミッチェル(ミッチ)
解説・あらすじ
夫に先立たれ、妹夫婦のもとに身を寄せて人生を模索する未亡人の哀しき顛末を描く、ピューリッツァ賞を受賞したテネシー・ウィリアムズ原作の舞台劇を映画化したドラマ。
批評と受賞歴
受賞
- アカデミー賞:主演女優賞、助演男優賞(カール・マルデン)、助演女優賞、美術賞
- 英国アカデミー賞:最優秀英国女優賞(ヴィヴィアンリー)
- ゴールデングローブ賞:助演女優賞
- ヴェネツィア国際映画祭:ヴェネツィア国際映画祭女優賞、ヴェネツィア国際映画祭審査員特別賞
- ニューヨーク映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、主演女優賞
ノミネート
- アカデミー賞:作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、撮影賞、録音賞、作曲賞、衣裳デザイン賞
- 英国アカデミー賞:総合作品賞
- ゴールデングローブ賞:作品賞、主演女優賞
- ヴェネツィア国際映画祭:ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞
批評
- Rotten Tomatoes:98%
- Roger Ebert:「great ensemble of the movie」
なんか良い訳が思いつかないけど、、感じ取ってください。 - AFIアメリカ映画100年シリーズ(アメリカン・フィルム・インスティチュート / American Film Institute recognition)
- 1998年:アメリカ映画ベスト100 45位
- 2002年:情熱的な映画ベスト100 67位
- 2005年:アメリカ映画の名セリフベスト100 45位(Stella! Hey, Stella!)、75位(I’ve always depended on the kindness of strangers)
- 2005年:映画音楽ベスト100 19位
- 2007年:アメリカ映画ベスト100(10周年エディション)47位
1951年 第23回アカデミー賞 授賞式
ヴィヴィアンリーは欠席して、グリア・ガースン(Greer Garson)が代理でもらってる。グリアガースンはイギリス出身で「高慢と偏見(Pride and Prejudice)」(1940・アメリカ)で評価されて、1941年から5年連続アカデミー賞ノミネートされてる。
高慢と偏見はヴィヴィアンリーの旦那、ローレンスオリヴィエと主演してる。原作が有名で何回も映像化されてるけど、映画としては2005年にイギリスがキーラナイトレイ主演で製作した 「プライドと偏見(Pride & Prejudice)」(記事へ)でアカデミー主演女優賞ノミネートされたから、結構馴染み深いのではと勝手に思っている。
1942年の「ミニヴァー夫人(Mrs. Miniver)」でアカデミー主演女優賞を受賞。というなかなかすごい人物。以下はアカデミー賞授賞式での彼女のスピーチ
it’s an honor and a thrill to accept this for you, vivien. i hope you’re listening in new york. we’re all very excited about it. god bless you and congratulations. i know she would want to thank you if she were here herself.
エグい
「欲望」という名の電車に乗って「墓場」に乗り換えて「極楽」に辿り着いた。
いやはやこれは。。 エグい。 極楽と地獄は紙一重なのかもしれない。あらすじにもあるけど、「哀しき顛末を描く」。退廃的な感じはある種フィルムノワールに分類されてもいいかもしれない。
それにしても、名セリフに名前呼ぶだけで選ばれてしまうなんて。どれだけ愛されているかが分かるね。あ、映画がね。
さて、今回はネタバレなしで参ります。
音楽
怪しげな雰囲気を漂わせる音楽も良し。
製作陣とキャスト
監督:エリア・カザン
「波止場(On the Waterfront)」(1954)とか「エデンの東(East of Eden)」(1954)とか。まぁ名作と言われる作品を残してます。孫はゾーイ・カザン(Zoe Kazan)。
脚本:テネシーウィリアムズ
もともとこの人が同名の戯曲を書いてたんだよね。で、映画化にあたってこの人が脚本に参加。テネシーウィリアムズの姉が精神障害だったらしくて、精神病院にほとんどいた。でもすんごい仲良かったんだって。すんごい影響受けたから、主人公のブランチデュボアは姉のローズがモデルだって言われている。
ヴィヴィアンリー
ブランチデュボア役。フランス語で白い森。
「風と共に去りぬ(Gone with the Wind)」(1939)のスカーレットオハラ役と、本作、欲望という名の電車でアカデミー主演女優賞を受賞。そしてローレンス・オリヴィエ(Laurence Olivier)の妻。
東洋的な美貌だと言われるのは出生地がイギリス領インド帝国ダージリンで、インド人との混血じゃない?って言われているから。
とりあえず。大女優である。
マーロンブランド
スタンリー役。
「20世紀最高の俳優」と称されるマーロンブランド。 ゴッドファーザーだよね。何と言っても。しかしかっこよすぎだ若い時、なんだこれ。
1950年に映画デビューして1951年に本作でアカデミーノミネート。この時の影響で若者にTシャツ文化が広まった。影響力ありすぎ。そんなマーロンブランドを見て育ったのがエルヴィス・プレスリー、ビートルズ。
波止場でアカデミー主演男優賞受賞して翌年の「エデンの東」の主役を断った。そしたら代わりのジェームス・ディーン(James Dean)がスターになった。
もはや意味がわからない。
傍若無人で一時期は映画界から干されそうになったけど、やっぱり演技力がものすごくて、マーロンブランドに影響を受けている人はめちゃめちゃいっぱいいるみたい。
そして人種差別が盛んだった若い時から人種差別問題と公民権問題に積極的に対応している。
うむ。かっこいい。
キムハンター
妹のステラ役。
赤狩りの時期にブラックリスト入りしてテレビとか映画とか難しくなった。猿の惑星、最初の3部作に出てる。あとはテレビ映画がちらほらと。
カールマルデン
ミッチ役。
「波止場」でアカデミー助演男優賞ノミネート。「ベビイ・ドール」「ジプシー」「The Streets of San Francisco」でゴールデングローブ賞ノミネート。1989年〜1992年までアカデミー協会の会長やってた。
ライトキング(Wright King)
途中で出てくる新聞屋の人。
うん。全然特筆すべきではないけどね。なんとなく気になって調べた。
生年月日:1923年1月11日
オクラホマ州オクモルギー生まれ。
「猿の惑星」
「フィニアンの虹(Finian’s Rainbow)」
フィニアンの虹はコッポラの作品だね。猿の惑星ではガレン医師役。。。
無理無理10年以上前に1回だけみた映画なんて絶対に思い出せない。
子供はミーガン・キング(Meegen King)。「モンスター・パニック」という映画に出ている。
うん。さらっと調べただけではやっぱり特筆すべきではなかった。
ブルージャスミン(Blue Jasmine)
「ブルージャスミン」(記事へ)ってウディアレン監督、ケイトブランシェット主演であったけど、ほぼそれ。というかこの「欲望という名の電車」が元になってる。ウディアレンは違うって言ってるけど。プロットはほぼ同じ。
共通点1. セレブの姉が労働者階級の妹のところを訪ねてくる
ブルージャスミンはニューヨークからサンフランシスコへ。欲望という名の電車は南部の名家からニューオーリンズへ、ブランチデュボアはアメリカ南部から来た。これ、南部の奴隷制度で農園やってぼろ儲けしてた名家だったんだけど、南北戦争後それが崩壊して徐々に裕福だった家は衰退していった。
共通点2. 妹の家に着いた時、家を見てがっかりする。高級品を持っている。
ブルージャスミンはヴィトンのかばん、欲望という名の電車は毛皮のコートみたいなやつ
共通点3. 妹のパートナーに噛み付いて仲悪くなる
ブルージャスミンはチリをバカにして、欲望という名の電車はスタンリー。
冒頭部分だけでもこれだけ同じ。全部挙げようかと思ったけどネタバレになるからやめておこう。(という言い訳の多すぎてめんどくさくなった感)
ちなみにヴィヴィアンリーもケイトブランシェットもアカデミー主演女優賞を受賞。
みどころ
ヴィヴィアンリーの演じる狂気
ブルージャスミンのケイトブランシェットの演技も間違いなく素晴らしかったけど、こちらのヴィヴィアンリーも崩壊への向かい方がすんごいうまい。
光
市民ケーン(記事へ)を見てからすっかり白黒映画への恐怖から脱却したわけだけど、白黒ならではの光の使い方っていうのがね。ありそう。(勉強してないから知らない)
チカチカさせたり、年齢がバレるまでは暗がりの下でしか映さなかったり、「映像」を使って表現する、ってのは色がなくて白黒でも分かるもんだなぁ、と感心した。
マーロンブランドのイケメン度
ここから駆け上がるスターの階段(途中でちょっと降りる)。若き日の天才はやはり違う。というか同性からみてもイケメン。原点をぜひ見てください。
ということで
ではみなさん、
「欲望」という名の電車に乗って「墓場」に乗り換えて「極楽」へ行って楽しんできてください。
ストーリーが似ているブルージャスミン
なんかもおすすめです。
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